| ねえ、ネコさん、最近は研究によって色々なことが分かってきたけど、便利な時代に生きてる私たちでさえも、錯覚っていうのは特に不思議な現象だと思わない? | |
| そうだよね。錯覚って言葉だけ聞くと、あんまり不思議な感じはしないけど、実際に自分では同じ大きさだって分かってるのに、違う風に見えちゃうのって、自分が自分で無いような気がしてくる。どうしてなんだろうって思うんだけど、それがハッキリしないところが、錯覚なんだなあ・・・ | |
| クマさん、ウサギさん、今私たちが錯覚のことを不思議がってるように、古代や中世の人たちも、神様や宗教にもかかわる哲学的な問題だったみたいだよ。たとえば、ギリシャの神殿の建築には、錯視の効果が配慮してあって、本当は梁の中央が上に反っていて柱も内側に傾けてあるんだけど,眺めると真っすぐに見えるんだって。 | |
| 詳しいね。ウサギさん。でも、歴史的にみると視覚が科学的に研究され始めたのは、ここ200〜300年のことなんでしょ? | |
| うん。代表的な幾何学的錯視、簡単に言うと、形が歪んで見える図形は、1800年の終わりごろから1940年ぐらいの間に、ほとんどのものが発見されたんだよ。そういう意味では、まだ100年ぐらいの歴史しかないってことだね。 | |
| でも、いろいろな説明や理論が研究されたんでしょ? | |
| でも、多くのものは、ただの現象の説明になってしまって、「こういう時にこうなる」っていうだけで、なぜそうなるのかわからないものがまだまだ多いんだって。それから、一つの現象についてはわかったような気になっても、他の現象を一緒に説明できないこともよくあるんだよ。 | |
| 錯覚って、現代でも、たくさん研究余地のある、不思議な現象なんだね。 |