ユウタと河童は、寺の中へと入ってみました。
とても薄暗く、歩くたびに床がギシギシと音を立てます。
…かったん…かったん……
奥から機織りをする音が聞こえてきました。
「あれが、こくりばばあだ。静かに覗けよ」
戸の隙間から、河童とユウタは覗いていました。
機織りをする老婆の背中が見えます。
…かったん…かっ……
急に機織りをする音が止みました。
「まずい。ユウタ、逃げるぞ!!」
河童が声を潜めながらいいました。
老婆が立ち上がったと思うと、戸の隙間からその姿が見えなくなりました。