神様と王様
神様=王権の源
ここでは、神話の神様と王様(統治者)との関係について比較していきます。
各地域の王様(支配者)達は、自分達の祖先を神様と結びつけました。
そうすることによって、王様達は家柄を神聖なものにし、神様に関わる存在という立場を人々の支配の理由としました。
神様と王様は、密接な関係にあったのです。
西洋の神話と王様
ギリシャ・ローマ
ゼウスとニンフ(妖精)や人間の女性との間に出来た子供(半神)が、王や英雄になります。
これは、古代ギリシャ時代の王族・豪族・名家と呼ばれる人々が、自分達の家系に権威を与えようと考え、
伝説の英雄や半神を祖先としたためと言われています。
ゼウスと愛人との子供が英雄になる、という話が神話に多い背景には、権力者達の系図作りが関係しているのです。
エジプト
初期は「王=現人神」と見られましたが、時代が過ぎるにつれ王は神様の跡継ぎとなりました。
国家プロジェクトで神殿を作ることもしばしばありました。
王の名前にも神様に関するものが付けられることが多く、これは神話や神官と繋がりがあることを意味しています。
東洋の神話と王様
日本
神権天皇制国家で神様の「血筋=天皇」となっていました。
時の権力者(豪族・武士など)は、天皇家に繋がる血筋を手に入れるために、天皇とかかわりのある家と縁組をしていました。
古代の有力者達も神様の末えいとされていますが、天皇の祖先とされる神とは別の神様です。
最初の天皇、神武天皇は天照大御神から数えて4代後の子とされています。
インド
元々、インドの神話はバラモン教やヒンドゥー教に伝わるものです。
階級制度の四姓制で、統治者の王族は上から二番目となっています。
四姓制で一番偉いとされたのは神様に仕える者、「バラモン」でした。
中国
天子は道教の最高神、天帝から天命を受けて統治を行うとされていました。
道教の神に基づいているので神話とは少し違いがあります。
ちなみに天子とは中国の皇帝の別名です。これは秦の始皇帝の時代の以前では、天下を治めるものの名称でした。
日本でも天皇の別称として使用されていました。