用語-や行-

●役石(やくいし)
茶の露地における、それぞれに役目を持った石のことで、躙口、待合、手水鉢付近など露地のいたるところにこのような石がある。

●役木(やくぼく)
庭園内の各々の役目を果たす樹木の総称。江戸時代に提唱され、それが今日まで続いているが、意味不明のものもある。

●薬研彫(やげんぼり)
鎌倉、室町期の石造品に見られる彫り方の呼称で、文字をVの字形に深く彫る彫り方。この彫り方だけでも、その石造品の大凡の時代判別にもなる。

●八つ橋(やつはし)
この名の由来は無量寿寺のカキツバタの池にある八つ橋からきており、八枚の板を組合せてできている。現在では、八枚とは限らずハナショウブの池などで見られる。数枚の板を一直線でなくジグザグに掛ける事で景趣を出します。水面近くで欄干はなく、適当に屈曲させたもの。

●遣水(やりみず)
奈良、平安期の頃の庭園などで、優雅な曲線を描きながら流れる水のこと。庭園の中に細い流れを導き入れ、水元の配石、石積、沢渡石など添景によりその水流を楽しんだ。寝殿式庭園に取り入れられていた。枯山水の発達と共に作られなくなった。

●湧水・湧泉(ゆうすい・ゆうせん)
人々の生活の中に清らかな湧泉があって、その善し悪しは邸宅の資格を定める必須条件になっていた。著名な庭園には必ずといってよいほど良質な湧泉があった。蹲踞(つくばい)・手水鉢(ちょうずばち)は湧泉に見立てた茶人のすぐれた独創である。平安時代の頃には溢れ出る水を遣水に流した。

●雪見燈籠(ゆきみどうろう)
竿の代わりに三脚や四脚の足で、中台以上を六角か八角にし、かつ背の低い火袋で意匠されている。桂離宮のものと、泉湧寺のものが姿も美しくバランスの取れた意匠である。

●遊魚石(ゆぎょせき)
滝の下に魚が遊泳しているような姿の石のことをいう。

●湯桶石(ゆとうせき)
蹲踞の役石の一つで、冬の茶事の際に、湯の入った桶を置く石のことをいう。

●柚木形(ゆのきがた)
現在、春日大社の宝物館に保存されている平安時代の燈籠。元は若宮社の南の柚の木の下にあったことからこの名称がついた。中台以上が八角で、基礎は六角である。全体の姿は非常に近世が取れており、また時代の古い物だけに反花や格狭間の彫りに力強いものがある。

●影向石(ようごうせき)
庭園内の中島のことを影向島といい、そこに据えられた石のことを影向石という。またこの影向島に架けられた橋のことを影向橋という。影向とはそもそも神仏の来臨のこと。

●寄石敷き(よせいしじき)
庭園内の敷き石の一種で、大小さまざまなかたちの石を敷く石敷きのこと。

●寄燈籠(よせどうろう)
最か燈様々な石造品を集めて組んだ燈籠のこと。有名なものとしては、大徳寺孤蓬庵忘筌の露結の手水鉢に対して据えてあるものや、岡山県高梁の頼久寺にある寄燈籠は有名である。

●四つ目垣(よつめがき)
竹垣の一種で、細い青竹を縦横に組み、それらの物をシュロ縄で結び止めた物。最も手軽で効果的な竹垣で、茶の露地、一般庭園の境界や仕切など、幅広く使われている。

●夜泊石(よどまりいし)
池泉庭園において、数個の石を直線に配置した石組のこと。蓬莱思想などからきた物で、神仙島である蓬莱島には、仙薬財宝があるために、それらの物を求めるために、夜、海に停泊している舟の姿を現している。京都西芳寺、鹿苑寺(通称金閣寺)、積翠園などの夜泊石が有名である。