■葵祭の豆知識

・保存のきかないアオイ
 平安遷都後の大同2年(807年)、飾り草として使ったのが最初です。
正式名はフタバアオイで、淡紅紫色のかわいらしい花をつけます。 山の清流のほとりや深い杉木立のなかに自生しており、水の汚れを極端に嫌います。 長く保存ができないため、祭に必要な約1万本のアオイを納入期限の4、5日前のうちに 一気に採取しなければなりません。


・牛車にも高級車
 牛車にもいろいろあって、最高級車は唐車です。
葵祭では勅使用の牛車がそれにあたる斎王代用は八葉車と呼ばれる少し位の下のものです。
昔は牛車で社参していましたが、今は乗られていません。
外見の優雅さとは裏腹に乗り心地ははなはだ悪く、車酔いも起こしかねないそうです。

・女の闘い、車争い
 「源氏物語」の「葵の巻」に、斎王列見物にでかけた葵の上と六条御息所の車争いがあります。
今を時めく光源氏の正妻、葵の上と、源氏の愛がさめた御息所の衝突。
御息所の車は見物の列からハジキ飛ばされます。
気のすまない御息所の恨みは生霊となって、やがて葵の上にとりつきます。

・豪傑もグウグウ
 葵祭の翌日、斎王列が帰るというので、頼光四天王で名高い坂田公時ら3人が見物に。
でも、馬では野暮だし徒歩では人目がある。
「牛車で見物としゃれ込んでは…」。1人の提案に全員が同意。
早速に出かけたが、慣れない車にゆられて強者も車酔い。車の中でグウグウ、スウスウ。
目を覚ましたときは行列は過ぎたあとで、文字どおり、あとの祭り。(「今昔物語」巻ニ八ノ二)




この文章は京都新聞社から許可を得て転載しています。