中国の神話

巨人、盤古の右眼
広大な中国大陸には、五十を超える民族がすんでいます。
悠久の歴史のなかで、 それぞれの民族は独自の物語を
伝えてきました。ところが、もっとも多数を占める漢民族のほかは、
ほとんどが文字をもたず、口承で伝えてきたため、現在残っている
物語は、その多くが断片的で、 数も多くはありません。
しかし、漢民族ののこした『山海経』や『楚辞そじ』、『淮南子えなんじ』などの
書物には、 いくつかの物語が記されています。


初め、天地は混沌とした卵のようでした。そのなかに盤古が
生まれます。 それから一万八千年たった時、天地が分かれ始めます。「清く陽るいもの」が天に、「 濁って陰いもの」が地になります。盤古は
そのなかで一日に九度形を変え、一日に一丈(約三メートル)ずつ
成長し、 天と地を支えます。天は一日に一丈ずつ高く、地は一丈ずつ
厚くなり、一万八千年たったとき、遠く離れました。 天地を分けた
盤古にも、死がおとずれます。そして盤古の息は風や雲に、
声は雷鳴になり、左眼は太陽に、 右眼は月になります。
さらに、体と手足は大地と山々に、地は川に、髪やひげは星々に、
汗は雨になったといいます。


別の物語では、月の精について語られています。堯の時代に、
いっせいに十個の太陽が出ました。 あまりの暑さに草木は
枯れてしまいます。困った帝は、弓の名手である羿げいに、太陽を射落とすように命じます。 羿は太陽をつぎつぎと落とし、ひとつだけにしました。 羿は、不老不死の女神、西王母から不死の薬を授かります。しかし、羿の妻、嫦娥は、 それを盗んで飲み、月へと逃げてしまいます。そしてそのまま月にすみ、月の精、蟾蜍ひきがえるになりました。 「蟾蜍」は蟇のこと。毎年冬眠し、春になると出てくることから、蟇は、欠けても満ちる月と同じように、 死と再生、不死の象徴といわれているのです。



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