物語
解説
フラッシュ
カインとアベル
エデンを追放されたアダムとエバに二人の息子が生まれた。兄カイン(鍛冶工・工人という意味)と弟アベル(息・蒸気という意味)である。やがて二人は成長して、カインは土を耕すものとなり、アベルは羊飼いとなった。
あるとき、兄弟そろって神に捧げ物をした。カインは土の実り、アベルは群れの中から肥えた初子の子羊をささげた。しかし神が目にとめたものは、もっとも良いものを選んだアベルの捧げ物だけだった。兄であるカインは、大いにプライドをきづつけられ、アベルに対する嫉妬に狂った。そして、激しく怒り、顔を伏せたのである。何故、神はアベルの捧げ物だけを認められたのか。カインはやりきれない不満を制することが出来なかった。カインは、言葉をたくみに使い、アベルを誘い出して野原に着いたとき、ついにアベルを襲って殺してしまった。カインがアベルを殺した理由は、プライドを傷つけられたこと、そしてアベルに対する嫉妬である。
すなわち、自分が認められないという利己的な考えである。
殺害の瞬間、興奮のあまり神の言葉は、カインの中に無かった。愛するアベルが相手であることさえ、見失っている。ただ、認められなかったくやしさ、不満、怒り、でいっぱいで、神に対する信仰、他人を愛することも見失っている。このすさまじい自己中心性こそがカインを罪に駆り立てたといえる。
この根底にはアダムとエバの物語で学んできたものと全く同じものが流れている。
written by カンカン
referenced by 新編 旧約聖書の教え―キリストへの出発―、わたしたちの旧約聖書
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