物語
解説
フラッシュ
洪水
洪水とはあの有名な『ノアの箱舟』のことである。
皆さんはあのような酷い洪水の理由を知っているだろうか。短絡的にいえば、人間が神の怒りを買ってしまったことによる出来事なのだが、それではどうしてノアとその家族だけが助かったのか。不思議に思ったことはないだろうか。
この頃、地上には人の悪が増し、人は常に悪いことを思い計っていた。それをご覧になった神は、人を創造したことを悔い、さらに家畜などの動物を作ったことをも後悔した。そこで神は地上を一掃するために、洪水を起こすことを決意したのである。
聖書によると、ノアは神に従う無垢な人だった、とある。神は洪水を起こすことをノアに告げ、箱舟を造ることを命じる。その箱舟の大きさはメートルに直すとなんと、長さ135m・幅22.5m・高さ13.5mのとても大きなものだ。上から45cmのところに明かり取りを付け、箱舟の内部には3階まで造れ、という現代でも相当時間と費用がかかりそうなものだ。これを命じたのはノアが500歳ぐらいのときと考えられていて、そのころに3人の息子も生まれた。この大きな箱舟を作るのに、ノアたちは約100年を投じたわけである。
そしてノアとその家族は箱舟を造り上げた。神は、ノアに洪水を起こすので、動物を1つがいずつ、清い動物は7つがいずつ箱舟に乗せ、食料もたっぷりと積むようにと言った。神が洪水を起こそうとしたとき、ノアはすでに600歳であった。このころ、神は人の一生を120年と決めていたので、どれほどノアが神に愛されていたかがわかるだろう。
そして、洪水は起こってしまう。水が地の上にみなぎり、ノアとその家族は箱舟へと避難する。このとき、動物を集めていなかったにも関わらず、動物たちは、雄と雌の1つがいずつ、清い動物は7つがいずつ、勝手に集まってくる。神がかりすぎである。
そして、洪水は勢いを増し、世界を覆ってしまう。洪水は40日間続き、箱舟に乗っているものたち以外はすべて絶命してしまう。人も動物もすべて地上にいた生き物は滅んでしまった。そして水は150日間、地上で勢いを失うことはなかったという。
その後、神は箱舟の中にいる生き物たちのことを思い、洪水を止めることにした。150日間、ありとあらゆる生き物たちの食糧は尽きることはなかったようだ。150日間太陽の光も浴びず、常に箱舟の中にいたノアたちは退屈以外の何物でもなかっただろう。食料だけはあるわけだが、それでも疲労は溜まる一方だったと思われる。
しばらくして、水が減っていき、ノアは箱舟の窓をあけ、カラスを放した。こうすることによって、地上が乾いているかを調べるためであるが、このあと、ノアはカラスではなく、鳩を放すことにしている。カラスは出たり入ったりを繰り返したようだが、鳩は必ずノアのところに戻ってきたようだ。鳩がオリーブの葉を加えて飛んでいるところは、しばしば平和の象徴として用いられるが、この出来事からきているとされている。
洪水が収まり、ノアたちは箱舟の外に出た。そこでノアが一番最初にしたことは、遊ぶことでもなく、食べることでもなく、神のために祭壇を築くことだった。祭壇を築いたノアは、焼き尽くす捧げものを祭壇の上に捧げた。神は二度と人に対して大地を呪うことはしないと誓い、ノアとその息子たちを祝福し、そのしるしとして空に虹をかけた。
その後、ノアは350年生きて、950年の生涯を終える。人の一生を120年としているのに、ノアはなんとその6倍以上も生きているのである。
この話は、ノアが無垢な人であった、ということが重点だと思われる。ノアがもし、無垢な人ではなく、ほかの人々と同じように悪であったならば、この世界に生命はないであろう。
もしも、今の時代に、神が同じことを思ったら、誰が箱舟に乗ることができるのだろうか。自分は神に選ばれることができる、と確信は持てるだろうか。人が罪を犯さずには生きることは決してできない。おそらく、ノアも例外ではないだろう。いくら無垢な人といえど完璧な人間なんていないのだ。しかし、ノアは罪を犯しながらも、祈り、神に従い、そうやって生きてきた。
決して、神を信じろ、などとは言わないが、自分は箱舟に乗ることができるのか、そうではないのか。そうではないのなら、どうして乗ることができないのか。自分の何が悪いのか。この話を通して、自分をもう一度見つめなおしてほしい。そして自分を見つめなおした上で、何か見つけることができたなら、それを自分の糧にしてほしいと思う。
written by サャ
referenced by なし
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