免疫系とガンの関係
癌とはもともと身内の正常細胞に遺伝子の突然変異がおき、
ルールを無視して異常な増殖を始めた細胞のことである。
私たちの体の中ではかなりの頻度で細胞が癌化しているが、
免疫系がこれを監視して排除しているため、そう簡単には癌細胞は増殖できないと考えられている。
ところが、癌細胞の中には、免疫系の監視を逃れてどんどん大きくなり、
やがて生命を脅かすものがある。
どのようにして免疫系は癌を監視するのか
免疫系が癌を「敵」とみなすためには、癌細胞に適当な目印が必要になる。
これらは癌遺伝子がつくる
「癌抗原」と呼ばれるたんぱく分子である。
この癌抗原をキラーT細胞が見つけて殺すのである。
どのようにしてがん細胞はこの監視から逃れるのか
癌の目印を隠す(癌抗原を提示しない)
癌抗原が正常細胞と見分けがつかないようなものであったり、
私たちが抗原の退治のとき作っていたものである場合
このような抗原はキラーT細胞が「敵」として認識できないのである。
MHCを提示しない
これは癌細胞が生き残るために生まれた知恵であるが、
キラーT細胞が癌抗原を攻撃する場合のもうひとつの指標である
MHCクラスT分子をけしてしまう。
この場合キラーT細胞は相手を殺すことはできない。