抗生物質を使う
抗生物質にはたくさんの種類があることを学びました。
では、ある病気の症状が出た患者さんに、どの抗生物質を使えばいいでしょうか?
どの抗生物質を使うかを判断するために、
臨床検査を行います。
(※臨床検査とは、病気を診断するために、患者の血液や尿などを調べること。臨床検査技師が行う。)
まず、患者さんのからだの感染した部分を綿棒でこすって、
シャーレに入れた、菌の無い寒天培地の表面にぬりつけます。
(※寒天培地とは、培養液に寒天を加えて固めた培養基。
細菌のための栄養を含んだ、ゼリー状の物質です。
寒天を使う理由としては、寒天は微生物によってほとんど分解されないから。)
次に、6つくらいの滅菌した小さな円盤状のろ紙に、
それぞれ違う種類の抗生物質を染み込ませ、同じくらいの間隔を開けて寒天培地の上に置きます。
シャーレにふたをして、インキュベーター(培養器)に入れて、37度で24時間あたためます。
(※このときの37度は、人間の体温と同じくらいですね。)
その後、シャーレを見てみます。

上図のような結果になったとき、
4つのろ紙のまわりは透明のままであるので、
抗生物質が有効と言えます。
しかし、残りの2つの抗生物質は、この患者さんの菌の成長を防ぐことはできなかったのです。