ある生物の遺伝子を別の生物に移すこと、具体的に言うと、ヒト遺伝子を大腸菌などのバクテリア(細菌)やネズミに移したり、バクテリアの遺伝子を植物に移すことです。

【例　ヒト遺伝子を大腸菌に移す】
ヒト細胞から目的とする遺伝子を切り出し、大腸菌の遺伝子に組み込まなければならない。狙った遺伝子を正確な箇所で切ったり貼ったりする。
しかし、それだけの大役を果たすだけの技術を私たちの科学はまだ持っていないため、この大役を「酵素」という特別なタンパク質にやってもらう。つまり、私たちは ある生物の遺伝子を酵素を使って切ったり貼ったりすることで、別の生物に移している。


遺伝子工学とは、遺伝子を利用して有用な製品やサービスを提供することだが、その手段はＡ生物のＡ遺伝子をＢ生物に移して、Ｂ生物がＡ遺伝子を利用することである。このとき、Ｂ生物を「組み換え体」という。
Ａ生物の遺伝子をＢ生物に移すには、「ＤＮＡの切り貼り」をしなければならない。このための技術を「組み換えＤＮＡ技術」(レコンビナントＤＮＡ、もしくは遺伝子組み換え技術)と呼ぶ。
組み換えＤＮＡ実験では、外来ＤＡＮを微生物(肉眼では見えないほど小さな生き物)に入れて、組み換え体をつくり、これを培養することが多い。こうして、まったく同じＤＮＡを持った組み換え微生物(大腸菌がよく利用される)を増殖させることができる。まったく同じＤＮＡが大量に複製されるので、これをＤＮＡ(遺伝子)クローニングと呼ぶ。



しかし、生物学でクローンというと、性行為なしに1つの固体から遺伝子がまったく同じ固体を作ることを意味している。もちろん、一卵性双生児は例外だが。まったく同じ動物を作るクローンは、細胞に核を移植することで達成され、ヒツジ、サル、ウシではすでに成功している。このままいくと、いよいよ今度はヒトのクローンの番か!?と世界中でおきな論争になっている。