Epilogue...1



こうしてみんなと仲良くすごした日々も終わり卒業の日がやってきました。

卒業証書をもらい、今まで仲良く過ごしてきた友達ともお別れ…

“奈緒、ありがとう。
 いつも一緒にいてくれて。
 奈緒に助けられたこと、たくさんあったよね。
 奈緒が居なかったら、私、学校生活が送れなかったかもしれない。
 本当にありがとう。”

涙があふれてきて、奈緒に抱きつきます。
そんな私を奈緒は優しく受け入れてくれました。

涙がおさまってから…

“悠輝くん、ありがとう。
 あの日…、悠輝くんが手話を覚えようって言ってくれたから、たくさん友達増えたんだよ。
 それにね、こんなに幸せなら怪我してよかったなって。思っちゃった。
 ありがとう。
 悠輝くんは、私にとってすっごく特別な人です。”


「特別って… どういう意味なんだ?」

“特別…”

それ以上は言ってはいけないのだと思っていました。
私は、健常者ではありません。
この思いを伝えることは、きっと、悠輝くんにとって、重荷になるから…

そう思っていたときでした。

悠輝くんが私の肩を掴み、自分に向き合わせました。
そして、ゆっくりと丁寧に大切そうに、自分の言葉を紡いでいきます。

私は、手話の美しさを、温かさを、大切さを、このときに感じたのでした。



      

手話トップに戻る