それでは、日本の国としてはどのような取り組みをしているのか、見ていきましょう。
各府省庁による取り組み
世界的に見れば「第4次産業革命」が急速に進展し、日本としても別ページの通り「Society5.0」のような科学技術政策を掲げるなど、ICT技術をより発展させ諸課題を解決させるためにもスマートシティの発展が必要となってきます。しかしながら、スマートシティはまだ日本には十分と言える数はありませんので、これから先行事例(モデル)となる様々な種類のスマートシティを形成する必要があると言えます。先行となるスマートシティを作り上げるために、各府省庁は地方公共団体や関係する企業を支援するような事業を展開しています。
次世代エネルギー・社会システム実証事業(2010年〜2013年)/経済産業省
経済産業省は、2010年に『次世代エネルギー・社会システム実証事業』において4都市を選定しました。
この4都市は、それぞれの都市の特性に合わせて、エネルギーマネジメントシステム(EMS)・スマートグリッドの試験導入等が行われました。
データ利活用型スマートシティ推進事業(2017年〜)/総務省
データ利活用型スマートシティとは、その名の通り、行政や気象、観光、農林水産など様々な分野の膨大なデータを集約し、データが使いやすくなるようモジュールとクラウドによる共通化を行い、それらのデータを利活用して、その地域の様々な問題を解決しようとする都市のことです。
近未来技術等社会実装事業(2018年〜)/内閣府
内閣府は、2018年度から「近未来技術等社会実装事業」を実施しています。これは、2020年度までに近未来技術等を一部でも実装し、2024年度までに他地域への展開も可能となるまでそれらを社会実装できるような事業を選定し、関係府省庁が支援を行うというものです。ロボットやドローン、AIを活用して新たなスマートシティを形成するような事業が選定されています。
スマートシティモデル事業(2019年〜)/国土交通省
国土交通省は、 2019年に先駆的な取り組みを行う「先行モデルプロジェクト」、国が重点的に支援することで早期事業化を目指す「重点事業化促進プロジェクト」、提案に一定のレベル・意欲が見られるコンソーシアム「スマートシティ推進パートナー」を選定しました。先行モデルプロジェクトでは、具体的な取り組みに着手したり、課題を共有したりすることで全体の取り組みを牽引するとしています。重点事業化促進プロジェクトでは、専門家を派遣したり計画策定支援をしたりするなど、国交省が支援を行います。
スマートモビリティチャレンジ(2019年〜)/経済産業省・国土交通省
2019年度より、経済産業省・国土交通省が主導となって、スマートモビリティチャレンジが開始されました。
IoTやAIを活用した新たなモビリティサービスの社会実装に向け、地域と企業の協働を促すことが目的です。モビリティとは英語で「移動性」を表す言葉ですが、これは、主にMaaSによって地域の交通による移動性を高めようとする取り組みです。
スマートシティ実現のために自治体等を支援する国の事業は、上記のようにたくさん存在します。データを利用して諸課題を解決するスマートシティ、ICT技術で交通の課題を解決するスマートシティなど、どれも事業内容は同じというわけではありませんが、”スマートシティの実現のために支援を行う”という面では変わりありません。
上記の事業の実施府省を見てわかるように、スマートシティは他分野に渡ることから、色々な国の機関が関わってきます。つまり1つの府省庁に関わらず、各府省庁の連携、さらには様々な業種の企業との連携が必要となってくるのです。そこでできたのが「スマートシティ官民連携プラットフォーム」です。
スマートシティ官民連携プラットフォーム(2019年〜)/関係11府省庁
スマートシティ官民連携プラットフォームとは、企業、大学・研究機関、地方公共団体、内閣府、総務省、経済産業省、国土交通省といった関係府省庁・経済団体など計471団体(2019年8月8日時点)が会員となり、スマートシティ事業がより推進でき、また企業・大学等と地方自治体をマッチング(結びつけること)を行えるようにしたものです。
この取り組みによって、スマートシティがより作りやすく、また企業や自治体間での情報共有がしやすくなったと言えます。
以下が参加している団体の一部になります。多くの自治体や、多業種の企業が参加していることがわかります。