a

a

a

再野生化

絶滅危惧種を人工授精させたりクローン技術が成功したとしても、それを野生に戻す、つまり「再野生化」には多くの課題があります。自然環境で生き残るには、捕食者から逃げる能力や自然の中で食料を探す能力、仲間と競争しながら自分のナワバリを守る力が必要です。 人間によって育ったクローン個体は、こうした生きるための能力が十分に備わっていない状態であることが多いので実際に野生に適応させるには特別な訓練や時間が多く必要となってきます。

そして、再野生化をするときに気を付けなければならないこととして生態系全体へのバランスへの影響も考えなければなりません。数を増やしたとしても、遺伝的多様性(様々な遺伝子があったほうが環境の変化に適応していきやすく、そのさまざまな遺伝子がある状態)がなければ、病気が広がりやすかったり繁殖能力が低下しったりといったリスクが生じるかもしれません。そのため、ただ数を増やすということだけではなく、遺伝的多様性を確保し、野生環境での適応をサポートすることが重要となってきます。

また再野生化には、保護区の整備や地元の人の協力も大切で、自然環境を守り絶滅危惧種と人間が共存できる道を見つけることが、今後の生態系の維持にとって必要不可欠です。

ゲノム編集に戻る 合成生態学に進む