主な絶滅危惧種&意外な絶滅危惧種

先ほど「絶滅危惧種とは?」のページでも述べたように国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストには44000種類以上、環境省レッドリストでは3716種もの生き物が絶滅危惧種に指定されています。

このページではそれらの絶滅危惧種や意外と知らなかった絶滅危惧種について抜粋して紹介します。

主な絶滅危惧種3選

トキ

分類:ペリカン目トキ科

日本の絶滅危惧種の中で最も有名でしょう。(あくまでも私見です)

トキは日本の特別天然記念物で、主に現在は新潟県の佐渡ヶ島・中国(China)の一部などに生息している鳥で19世紀ごろまで東アジアで広く生息していました。しかし、人間による乱獲や森林の伐採、農薬の使用などによってどんどん数を減らして、一時は国内産のトキは絶滅してレッドリストの区分では野生絶滅とされていました。

しかし、中国から提供を受けた親鳥から子孫を人の手で増やしては自然界に放ってきた結果、この14年間で自然界に生息するトキは推定約480羽まで増え、野生復帰が進んだとして、絶滅の危険性が1ランク低い「絶滅危惧ⅠA類」に変更されました。

イリオモテヤマネコ

分類:食肉目裂脚亜目ネコ科

イリオモテヤマネコは、沖縄県の西表島にのみ生息しているネコの仲間で、世界的にもみて分布している範囲が狭い生物として知られています。現在、総個体数は約100頭で2007年に環境省のレッドリスト「絶滅危惧ⅠA類」に指定されました。人間による乱獲、森林の伐採と湿地の農地化、農薬の使用等による生息環境の悪化が原因で指定されました。

絶滅危惧種となってしまった主な原因として、そもそもの生息範囲が狭いことや、交通事故・FIV(通称:猫エイズ)と呼ばれる感染症の影響などがあります。 そんなイリオモテヤマネコは西表島の道路に注意喚起の標識を設置することや、生息環境の調査など保護活動が行われています。写真はTYが飼っている猫です。

ヤンバルクイナ

分類:ツル目クイナ科

ヤンバルクイナは沖縄県北部やんばる地域にのみに生息する、日本唯一の無飛力(飛ぶことができない)の鳥類です。レッドリストのカテゴリーで言うと、「絶滅危惧種ⅠA類」に指定されています。

絶滅危惧種となってしまった主な原因としては外来生物のマングースやノネコによる捕食、先ほど話した交通事故・森林伐採などによる生息地の減少などが挙げられます。 生息数は長い間減少傾向でしたが、近年は外来種の駆除人工繁殖などの保護活動の成果によって回復傾向にあります。

意外な絶滅危惧種3選

ラッコ

分類:食肉目裂脚亜目イタチ科

皆さんご存知のラッコさん。

実は個体数が激減して絶滅危惧種なんです。 2002年に国際自然保護連合(IUCN)によって、絶滅危惧種に指定されたラッコですが、現在日本国内ではアメリカからラッコの輸入が禁止されたこともあり、国内で飼育されているラッコは2023年3月時点で、三重県の鳥羽水族館・福岡県のマリンワールド海の中道の2ヶ所で、飼育されている3頭のみです。

主な原因としては、良質で断熱性に優れたラッコの毛皮を目的とした乱獲、シャチによるラッコの捕食・アラスカ沖での石油の流出などが挙げられます。

クロマグロ

分類:サバ科マグロ族マグロ属

皆さんの食卓に並ぶことが多い(かもしれない)クロマグロ。

年々、人による乱獲などによって漁獲量も減っており、太平洋クロマグロは、1962年のピークの約16万トンから2014年には約1万7000トンと9割近くも資源量が減ってしまったという試算もあり、絶滅危惧種に指定されています。

ただ、現在では完全養殖や漁獲量を減らす「獲らない我慢」を行ったりしており、クロマグロの数は少しずつ回復傾向になっています。

アワビ

分類:ミミガイ科

高級食材として知られ、おせち料理にも使われる「アワビ」。農林水産省によると、国内の天然アワビの漁獲量は、1970年の6466トンをピークに、2019年には829トンまで激減しています。そういったこともあり、レッドリストでの近い将来に野生での絶滅の危険性が高い「絶滅危機(EN)」に指定されました。 数が減っている原因としては乱獲や密漁、海水温の上昇などが挙げられます。 一般の人がうっかり密漁してしまっているということもあるので対策が必要です。

他にも絶滅危惧種に指定されている生物は沢山あります。みなさんもぜひ関心を持って調べてみてください。