発がん物質で作る大腸がん、肉腫の発生がビタミンCで少なくなるとのデータもあります。

 ビタミンEも、ビタミンCとともに発がん予防が期待されており、その理由は二つあります。

 一つは、ビタミンEが抗酸化剤であることです。他の抗酸化剤のBHT(ブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)と同様に発がん抑制作用が見られます。発がんのしくみから考えると、発がんしかけ人物質が細胞遺伝子に作用する場合、酸化反応が必要ですが、ビタミンCとビタミンEは、その抗酸化作用によって発がんしかけ人物質が遺伝子に結合する反応を抑えます。

 もう一つの理由は、ビタミンEは値物油に多く含まれ、植物油を多く利用することはビタミンAやカロチン等の脂溶性ビタミンの吸収・摂取の増加が期待されるからです。

 その他の実験から、ビタミンEはビタミンCと同様に、アミンと亜硝酸塩から生成される発がん性物質ニトロソアミンを抑える働きや、乳腺腫瘍、腹腔内腫瘍、度下肉腫の発生を抑える働きがあることがわかっています。

 しかし、ビタミンE(α・トコフェロール)がどのくらい人間の発がん予防に有効であるかを知るには今日のデータではまだ足りません。それ以上にビタミンEが欠乏した場合の症状がまだはっきりしていませんし、食物の中のビタミンE含有量を測る方法も確立していません。このような現状で、ビタミンEの発がん予防効果をうんぬんすることはたいへん困難です。今後の研究が望まれます。

 野菜をたくさん食べよう

 がんの研究が進むにつれて、がんを作る食品、がんを防ぐ食品がわかってきました。そこで、毎日の食事では、がんを作る食品はできるだけ避け、がんを防ぐ食品は多めに食べることが大切です。しかし、がんを防ぐからといって同じ食品ばかりでは、かえって栄養のバランスをくずしてしまいます。  まず、食事はバランスよく偏食をせず、食品を多くとることです。多くの食品をとっていれば、いくつかがんを作る食品があっても、ほかの多くのがんを防ぐ食品によってその発がん性は弱められます。  厚生相が提唱する1日30品の食品を目標にするとよいでしょう。そのうえで、次の点を注意して食事を作りましょう。

1、 ビタミンAをとる   

2、 ビタミンCをとる   

3、 ビタミンEをとる   

4、 食物繊維をとる   

5、 脂肪をとりすぎない   

6、 塩分を抑える  

 この1、2、3、4のポイントを満たしているのが緑黄色野菜ですが、淡色野菜にもビタミン、食物繊維を豊富に持っているものがあります。  緑黄色野菜100g、淡色野菜200g、芋類100g、果物200gで、成人が一日に必要な量のビタミン、食物繊維などがとれます。100gの目安量を参考にして組み合わせてください。