1-1.「情報」という言葉について

 「情報」という言葉が、日本で最初に一般社会に現れたのは1903年(明治36年)、クラウゼウィッツが著した『戦争論』という戦争の性質や、作戦問題などを解明した本の中であった。この訳者は森鴎外で、ドイツ語の[Nachricht:ナハリヒト/知らせ、通知、ニュース]という言葉の訳に、情報という言葉を用いた。しかし、「情報」という言葉は森鴎外が造語したのではなく、さらに以前に陸軍内の部内資料には用いられている。しかし、当時の「情報」の意味には「諜報」や、敵国の地勢、住民、軍隊に関する知識という内容が含まれていて、軍事的要素が強かった。

情報に関する行為や媒体、その内容に至るまで、「情報」に関する概念が認識されたのは、19世紀以降の事である。情報はもともと人類の存在と共にあったと考えられるが、文化というものがある以前に情報というものは存在している。例えば、動物の中でもイルカは泣き声で情報を伝えている。

広辞苑によると
情報:information ある事柄についての知らせ、判断を下したり、行動を起こしたりするために必要な、種々の媒体を介しての知識 とある。

情報という言葉は軍事用語として発生してから、今日の意味に至ったのだ。