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酸性雨による被害

環境への影響 森林の被害 森林への被害と、その原理を説明します
湖、河川への被害 湖、河川への被害と、その原理を説明します
石像などの劣化 人工物への被害と、その原理を説明します
酸性雨による二次災害 酸性雨による被害が引き起こす環境問題などを説明します

環境への影響
森林の被害
酸性雨によって木々が枯れてしまう現象は日本でも割とよく知られていると思いますが、ここではその原理について説明します。
強い酸性の雨をを浴びるだけでも木々は表面に悪影響を受けますが、枯れる原因は当然表面だけではありません。
酸性雨が降り続けると土壌は酸性の物質を含み、当然ながら酸性化します。すると酸性物質はそのまま水分を通じて樹木の内部に入り込みます。そうなると酸性化に敏感な植物の場合、枯死を引き起こしてしまいます。またこの時すぐに枯れなかったとしても、急激な酸性化は木々の抵抗力を著しく低下させます。そのため寒波や干ばつに耐えきれず、樹木が一斉に枯れてしまうという現象が起こるのです。
湖、河川の被害
酸性雨は土壌のみならず、河川や湖も同じように酸性化します。魚類は本来水質の変化にとても敏感で異なる条件下の水質では同じ種類のサカナは住めません。塩分濃度もそうですが酸性化に対しては特に敏感で、河川や湖が酸性化されると環境の変化に対する許容量が小さい小魚は耐えきれずに死んでしまいます。基本的に大きな魚は環境の変化と汚染物質に対する許容量が大きく、小魚は小さくなっています。なぜなら小魚は体が小さいために少しの変化にも対応できないのです。そのため大型の魚類は生き残る場合もありますが、結局えさがなくなってしまうのでやはり死んでしまいます。こうして最後には生命の存在できない死の河川と湖になってしまうのです。
石像などの劣化
酸性雨は自然界の産物だけではなく、私たち人間の作ったものにも被害を及ぼします。まず有名なものとしてあげられるのはその国々の貴重な文化財である建築物や彫刻などの腐食です。全体に溶けて流れた跡がある彫刻の写真は日本でも社会の教科書に載っているくらいで広く知られていると思います。酸性雨はカルシウム分や石灰質を溶かしてしまうのでこういった現象が起きます。
また酸性雨はこれらのような文化財だけでなく、もっと身近なコンクリートやセメントで造られた建造物なども溶かします。
酸性雨による二次災害
先に書いたように、酸性雨は森林に深刻な影響を及ぼします。酸性雨による樹木の枯死は非常に規模が大きく、なおかつ一斉に発生します。そのため森林の過剰伐採に継ぐ砂漠化の原因となりうるのです。
現在の酸性雨は建造物にいくらかのダメージを与えますが、これから酸性の濃度が強まれば被害はさらに広まり、溶かされるものもさらに広まっていきます。たとえば列車のレールなどが腐食された場合に脱線事故等が起こる可能性もあるのです。

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