寝殿造

 平安時代の上層住宅には、主にこの寝殿造が用いられていました。先端には池に臨む釣殿があり、廊の中間部には中門という門があります。神殿への道は、正式な場合は中門を通り、そうでない場合は中門の脇に設けられた板扉を身分によって使い分ける仕組みです。また、神殿を始め、対屋や渡廊はみな丸柱で、床は板敷きでした。天井はなかったので屋根裏が剥き出しになっていた、というから少し驚きです。寝殿造と聞くと優雅な庭園に佇む広い池を想像する人も多いと思いますが、あの池の真ん中に浮かぶ中島にはきちんと理由があります。池を設置する際に掘った土を積み重ね、利用しているのでした。平安時代から、『使いまわす』という概念は存在したようです。

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