炉のそばに、一人の男が座っています。
彼の姿は、何故か梟のようにも見えました。
周りには、幼いレラとシノカント。さらに幼馴染の友達。
みんな、何かに耳を傾けていました。
男は持っている棒で炉縁を叩きながら、言葉を謡っています。
歌のようで、語りのようで、不思議な感じがします。
ユーカラです。

シノカントは、アイヌのユーカラが大好きでした。
ここから様々な指針を得て、神様を敬う心を学んできました。

「シノカント……」
誰の声でしょうか。

とても遠くから聞こえてきます。

「シノカント……」








モドル 目次 ススム