WHAT'S THE ENERGY?

エネルギーと経済は切っても切り離せない密接な関係にあります。ここではエネルギー問題を経済の視点から見ています。
ではまず、アルとケミシュタイン博士の会話に耳を傾けてみましょう。
  
とある午後、アルはコーヒーを注ぎにケミシュタイン博士の部屋に向かった。ノックをし、中に博士がいるのを確認してから入ると、博士は肘掛け椅子に座って新聞を広げていた。記事を見てみると、中国の経済発展のことが書かれていた。…そういえば、最近中国はめまぐるしい経済発展をしていて、オリンピックを開催するころには、上海だけでなく、北京などの都市が先進国に劣らない高度都市になっているだろうとか、そんな類のことをよく耳にする。 博士は、アルが自分の新聞を眺めているのに気が付くと、アルに話をふってきた。

最近の中国はすごいな。私たちが使っている製品の多くが中国産だけあって、中国の技術は急速に発展しておる。だが、あれだけ多くの人口を抱える国がこれから先進国のようにエネルギーを大量に使うようになると、わたしたちは飢え死にするかもな。

えっ、ど、どうしてです…?

飢え死にだけの話じゃないんだが…、わたしたちが生きていくには、特に先進国の人間は大量のエネルギーを使う。そして、私たちが食べる食べ物も大量のエネルギーを使ってできたものだ。食品を生産するときに、機械を動かし、その機械は化石燃料を燃やすことによって作った電気を使って動いている。つまり、全ての元をたどると、化石燃料といった有限資源を使うことによって、私たちはエネルギーを得て生きているのだ。有限ということは、いつかはなくなってしまうエネルギーだ。そのエネルギーを、これからますます発展していくであろう中国にもっていかれるようになると、ちとわたしらはきついかもな。

人口10億人以上も抱えている中国のことですからね。でも、今は新エネルギーの開発が進められているから、数十年後は石油はもう古い時代となっているかもしれませんよ。それに、石油はそうすぐに無くなるといわれていませんし。
ああ、メディアのいっていることは当てにならないな。だとしても、温暖化の問題もあるから、早く実用的な新エネルギーを手に入れないとな。
 


アルとケミシュタイン博士は中国の発展とエネルギーの話をしていましたが、先進国の一員である日本も、大量のエネルギーを消費していて、95%は輸入に頼っています。エネルギーには段階があって、一次エネルギーといって海外に輸入したり国内で産出された状態と、二次エネルギーといって一次エネルギーが加工された状態、三次エネルギーといって消費者に渡る状態があります。日本では、年間の一次エネルギーの合計が約5億4500万トンなのに対し三次エネルギーになると3億6200万トンに減ってしまいます。つまり1億8300万トンも減っていて、最終消費者に渡るまでにロスとして1億4700万トンもエネルギーがなくなるのです。 こうしたエネルギーの有効利用が今後の課題です。

現在日本のエネルギーの80〜95%は海外からの輸入に頼っています。必要とするエネルギーの量や価格は日本の外で決められています。そのため、日本はエネルギー供給で過去に石油危機がたびたび起きました。 1940 年太平洋戦争の頃にアメリカによって石油製品輸出が削減され、 1973,79 年にオイルショックが起きました。とりわけ 70 年代の石油危機はエネルギー価格が急に高騰したため、日本経済や家庭におおきな打撃を与えました。エネルギーは人体に必要な血液のようなもので、このように供給不足や価格の値上がりは大きな影響をもたらします。


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