災害の記憶 ‐三大台風



日本は昔から台風災害を受けてきましたが、昭和以降の台風の中で特に被害の大きかった3個の台風を、昭和の三大台風といいます。これらの台風によって生じた被害は、甚大なものでした。


 
室戸台風
1934年9月21日に高知県室戸岬付近に上陸した台風で、室戸岬で観測された911.6hPaは当時としては最も低い気圧の世界記録でした。台風は大阪市の西約20km地点を通ったので、大阪や広島では最大瞬間風速秒速60mの暴風が吹き荒れ、大阪湾では高潮が発生しました。近畿地方では多数の学校や家屋が倒壊し、列車の転覆や船舶の沈没などの大きな被害が出ました。




 
枕崎台風
1945年9月17日に鹿児島県枕崎付近に上陸した台風で、九州を縦断後広島市の西約15kmの地点を通り、北東に進みました。各地で激しい雨が降り、広島県を中心に洪水や山、がけ崩れなどで大きな被害が出ました。広島県では、死者・行方不明者がほぼ2000人と台風が上陸した九州全部よりも多くの犠牲者を出しました。これは、原爆投下と敗戦直後の混乱で防災対策がとれなかったことが原因の一つと言われています。





 
伊勢湾台風
1959年9月26日に和歌山県潮岬付近に上陸した台風で、北東に進んで同夜名古屋の西を通過したので紀伊半島や東海地方では最大風速が秒速30m以上の風が吹き荒れました。特に名古屋市から四日市にかけての沿岸部には東京湾平均海面上およそ4m以上の高潮が襲い、海岸堤防が各所で破られ死者約5000人を出し、5500億円の財貨を失いました。当時、名古屋とその周辺は干拓の規模が広がり、工場地帯が急に拡張していました。このため、高潮に対して防備の薄いゼロメートル地帯が広がり、自然災害を防ぐ努力があと回しにされたことが災害を大きくしました。
 


死者 不明 負傷 住家 浸水 船舶 耕地
室戸台風 2702 334 14994 92740 401157 27594 不明
枕崎台風 2473 1283 2452 89839 273888 不明 128403
伊勢湾台風 4697 401 38921 833965 363611 7576 210859


                    

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