火山灰

【火山灰の特徴】
火山灰は名前に「灰」がつくことから、タバコや炭が燃えて出るようなものと勘違いされやすいですが、全く別物です。火山灰の正体は
軽石や岩石が細かく砕かれたもので、ふわふわしていて非常に風に舞いやすいものです。岩石の細かいかけらである火山灰は水に溶けることはなく、雨が降ればセメントのように固まり、乾燥すれば何週間も舞い上がるという厄介ものです。

【火山灰の分類】
火山の噴出物は火山学によって定義されていて、噴火の際に放出される物質の中で直径が2mmより小さいものを「火山灰」といいます。火山灰から始まり、大きくなるにつれて「火山礫」、「火山岩塊」となります。

【予想される被害】
-
ライフラインへの被害-
3インチを越す火山灰は、雨で流されると下水道を詰まらせます。また、乾けば風で舞い上がり自動車やエアコンのフィルターを詰まらせ、ライフラインが窮屈になることが予想されます。

-
人体への被害-
火山灰は顕微鏡で観察すると角が刃物のように鋭くとがっていて、これにより気管や肺が傷つけられ、さまざまな病気を引き起こします。1991年からの雲仙普賢岳の噴火では、火山灰が積もった後に喘息の患者が増えたと報告されています。

-
家屋への被害-
火山灰は屋根に降り注ぐと積ります。それを放置しておくと、雨が降った時に火山灰が屋根にこびりつき、水を含んで重くなります。するとその全ての重量が屋根にかかり、しばしば家が潰れることもあります。1991年フィリピンのピナトゥボ火山では、噴火の次の日に台風が来たため、この被害が多く起こりました。

-
電子機器への被害-
火山灰には細かな粒子がたくさん含まれていて、これらが電子機器やコンピューターの吸気口から吸い込まれると中に付着し、誤作動を起こします。コンピューターが機能しなくなるということは、通信や運輸など現代の産業にに大打撃を与えることになります。台風や地震に対する対策は考えられていても、火山灰への対策はほとんど考えられていないのが日本の現状です。

-
航空機への被害-
富士山の周辺には東日本と西日本をつなぐ航空路がひしめいてるうえ、予想降灰域の中には成田空港、羽田空港、さらには米軍基地があります。万一これらが使用不能になれば、運輸業に甚大な影響が出てきます。


【代表的な被害例】
我々日本国では、富士山が1707年に宝永噴火と呼ばれる噴火を起こしました。この噴火では火山灰と軽石が大量に噴出され、細かい火山灰は偏西風に乗って江戸方面にも大量に降り積もりました。ちなみに宝永噴火が今発生した場合、首都圏にも多くの火山灰が降灰し、東海道新幹線や成田、羽田空港など交通の要に影響を及ぼすことが予想されています。

      

Back  ▼Next

TOPICS
・・・・・・・・・・・・・・・・・


軽石
マグマが引きちぎられた後、冷えて固まったもので、熱いマグマが泡立つときにできます。泡立った時に空気が入るため、軽石の中に気泡となって残ります。