日本と海外の水不足の関係は一見してローカルな問題のように感じます。
その関係を浮き彫りにするのが、仮想水です。

さてここで少し想像してみてください。
例えば、穀物1kgを生産するには、およそ1000kgの水が必要です。
それを元に、牛肉1kgを生産するのに必要な穀物は7〜11kg
つまり、牛肉1kgなら7000kg〜1万1000kg、の水を必要としています。

・・・・日本は輸入大国でしたよね?
もうお分かりいただけたと思いますが、牛肉1kgを輸入するのは、水7000kg〜1万1000kgを輸入するのと同じなのです。(この水のことを、仮想水と言います。)
貿易相手国では深刻な水不足が起きている地域もあります。決して、無関係ではないのです。

先ほどにも説明があった通り、仮想水を使うと
日本と海外の水に関する意外な関係をみることができます。
それを踏まえたうえで、下の図を見てみてください。
このグラフからも分かるように、現代人が好んで食べる牛肉は、水のコストが非常に高くつきます。

ここで注目したいのが、「食料用の水の消費」は世界各地に均等に散らばっていないことです。
つまり、一部の国、あるいは地域にのみ、限定的になっていることです。
それが地下水の枯渇につながったり、湖の水位低下の原因になってしまっているのです。

将来的には限られた水の中で、より大きな穀物をつくることが大事になって来るでしょう。
そして、忘れてならないのが、今後の食糧問題の推移です。
下の図を見てください。


※グラフはなんの対策もしなかった場合のシュミレートです。 (IPCC RA4より作成しました)

近年、テレビでもよく見かけるようになりました、地球温暖化です。
近い未来において、地球が暖かくなったときの食糧事情を表したグラフとなります。

中緯度から高緯度の地域では、気温が上昇すると、作物によっては、生産率が上がります。
しかし、乾季などのある熱帯地域(低緯度地域)では1〜2℃の上昇で穀物の生産性は減少します。
世界全体でみると、平均気温が3℃上昇すると生産量が低下すると予測されています。

少ない水から、より多くの穀物を。

なんの対策もしなければ、世界の食糧生産量は減少していくだろう。

戻る