1−4 現代の錬金術
現代においては錬金術というものは絶滅し、そんな疑似科学の典型みたいなものを信じているのは一部の好事家だけである、というのが一般的な認識であろう。「一部の好事家」というのは否定しきれない面もあるが、そこまで衰退しているわけでもない。
現在でも錬金術というのは哲学的学問として、またいくつかの学問の研究対象として、さらには近代西洋魔術と結びついてオカルト的な側面を持つなどして、思ったより多く残っている。一応、コミックや小説、ゲームなどのファンタジーも現在に残っている錬金術と言えるだろう。
オカルト的な意味で、現存する錬金術は主に大きく三流派ある。
・ボヘミア学派
ヘルメス思想から発展した、黄金錬成・不老不死の霊薬を現代科学・化学で解明し、黄金錬成が物理的に可能にならないかと研究している人達。
・チューリッヒ学派
錬金術の哲学的、宗教的な神秘性を研究しているフリーメーソン思想系の人達。
これはオカルト的な方面に特化した学派であり、アルス=マグナを目的としている。
・ウィーン学派
これは錬金術を性的に解釈する少数派で、比較的合理性はあるが、内容が学習サイトに相応しくないため今回は割愛する。
また、化学的な面から歴史上の錬金術を評価しようと言う働きもある。
例えば、ケミカル・ヘリテージ財団という、化学や分子科学の過去を大切にし、現在に伝え未来へと残そうとする活動をしている組織がフィラデルフィア錬金術会議というものを2006年に開催した。これは全盛期の錬金術と現在の化学の関連性について話し合う事を目的としていた。
これで錬金術全般の説明を終わりとする。それでは次章「錬金術の歴史」へ。
<前ページ トップへ 次講>