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分析に用いた計算式

どのように日本の気候のデータを分析したかを紹介します。

 絶対湿度(相対湿度に対して絶対湿度と呼ばれ、1m3あたりに含まれる水蒸気の量(g)を示す)を以下の近似式を用いて算出しました。
水蒸気量(g/m3)=217×(6.11×10(7.5×Ta/(Ta+237.3)))/(Ta+273.15)×RH/100
(Ta:平均気温(℃)、RH:平均相対湿度(%))


 「天気予報などで使われているのは、相対湿度であるのに、なぜ絶対湿度を用いたのか」と疑問を持つ人もいるんじゃないかな。その理由は、相対湿度と熱中症搬送者数の相関は非常に小さいからだよ。原因として、相対湿度では、飽和水蒸気量に対する水蒸気の割合であるため、同水蒸気量であったとき、気温が高いほど湿度は低くなるからだと考え、絶対湿度を用いることにしたよ。

  WBGT(熱中症の危険度を示す指標)の実測値が一部の都道府県でしか得られなかったため、論文を参考に、都道府県ごとの日平均WBGTを推定しました。環境省のホームページで公開されている、暑さ指数(WBGT)以下の式を用いました。
WBGT=0.7×Tw+0.2×Tg+0.1×Ta
(Tw:湿球温度(℃)、Tg:黒球温度(℃)、Ta:平均気温(℃))


 また、黒球温度は、「岡田・日下の黒球温度推定式の広域適用とパラメータ調整」の論文を参考に推定しました。
  Tg =(S0-38.5)/(0.0217×S0+4.35×U+23.5)+Ta
  (Tg:黒球温度(℃)、Ta:気温(℃)、S0:全天日射量(W/m2)、Uは風速(m/s))

 黒球温度の算出に使用する全天日射量については、データのない都道府県があったため、「太陽の位置、可照時間、大気外水平面日射量」「アメダス地点における全天日射量(日平均)の推定法」の論文を参考に推定しました。

⑴大気上端の水平面日射量(Sd0(W/m2))
Sd0=(1367/π)×((d0/d)2)×(hsinφsinδ+sinhcosφcosδ)
  h=cos-1(-tanφtanδ)
  (d0/d)2=1.00011+0.034221cosη +0.00128sinη+0.000719cos2η+0.000077sin2η
   η=(2π/365)×DOY
   δ=23.5cos(0.01689×(DOY-173))×(π/180)
 (1367は太陽定数、hは日の入りの時角、φ:緯度、δ:太陽の赤緯、DOY:1月1日からの通算日数)

⑵可照時間(N0(h))
N0=2H/0.2618
  2H=4asin((A/(cosφcosδ)) 0.5)
  A=sin(π/4+(φ-δ+ 0.01)/2)×sin(π/4-(φ-δ-0.01)/2)
  (φ:緯度、δ:太陽の赤緯)

⑶日平均全天日射量(Sd(W/m2))
Sd=(0.244+0.511(N/N0))×Sd0 (N≠0のとき)
Sd=0.118×Sd0         (N=0のとき)
(Nは日照時間(h))