企業からみた食品添加物

食品添加物がなぜ使用されるのか、その理由を解説します。 まず、コストを抑えられることがあげられます。

食品添加物は使用することで容易に味や見た目、香りなどの質を向上させることができます。どういうことなのか、わかりやすい例を挙げてみましょう。 とある会社が食品Aを作っていました。

しかし、お客さんから「食品添加物は怖いから、使わないでくれ」という声が多数届きました。 その会社は食品添加物を使わずに、食品Aに近い食品aを作ろうと試みました。 食品添加物にはいろいろな種類があります。 見た目をよくする着色料漂白剤、味を調える酸味料甘味料、品質を保つのに必要な保存料酸化防止剤など、これら全てが使えない状態で同じ商品を作らなくてはいけません。 着色料が使えないので天然の野菜や果物で色を付ける必要があります。その野菜や果物を仕入れるためにはお金が必要です。 保存料が使えないため、商品が長いこと持たずに廃棄されてしまう量が増えてしまいます。 では、廃棄を防ぐために冷凍技術を採用したとします。 すると新たに冷凍技術の開発費、運営費がかかってしまいます。 このように、食品添加物を使わずに商品を作ろうとすると、今までに必要なかったお金がたくさんかかってしまうのです。



そして、増えた分のコストは、商品の値上げによって賄われます。 その結果として、商品の価格が異常なまでに高騰してしまうことが考えられます。今まで500円で買えた商品が1000円で売られていたとして、ほとんどの人は買わないことが容易に予想できます。すると、商品が買われずにその会社の売上が減少してしまい、最悪の場合倒産してしまうかもしれません。食品添加物を使用しないと、 消費者と企業の双方がデメリットを被るのです。

食品添加物を使用することは、消費者にとって安価で商品を購入できることに、企業にとっては売れ行きが良くなることで利益が増えることが考えられます。



企業が食品添加物を使用する理由として最も大きいのはコスト面の問題ですが、他にも食中毒を防ぐため、といった理由も考えられます。 先述したように食品添加物には、防腐剤や酸化防止剤といった、食品の品質を高めたり、保存期間を長くする機能を持っているものがあります。 もし、これらの添加物が入っていなかった場合に危惧されるのが食中毒です。 平成28年度の食中毒患者は約2万人で、食の危険性を考える時に避けては通れない道です。そして、その対策として使われているのが他ならぬ添加物なのです。

保存料 食品中のカビや微生物の繁殖を抑える
酸化防止剤 酸化を防ぐ
防カビ剤 カビの発生を防ぐ
日持ち向上剤 日持ちをよくする
殺菌剤 原料についている微生物の殺傷除去

もちろんこれらの添加物には、ごくごく微量、体に害をなす成分が入っています。 しかし、小さなリスクを危惧して、添加物を使わなくなったことで食中毒になってしまっては元も子もありません。食品添加物はむしろ、健康のために使われている側面が強いことを忘れないでください。

また、製造の都合上添加物の使用やむなしということで使用している例も少なくはありません。

例として挙げられるのは豆腐です。

豆腐の原料は豆乳です。液体である豆乳から個体である豆腐を作るためには当然、化学反応を起こして凝固させる必要があります。

では、どのように固体にしているのか。その答えこそが「添加物」です。

豆乳ににがりと呼ばれる添加物を加えることで固まって豆腐になるので、にがりは豆腐を作るうえで欠かせないものと言えるでしょう。 この「にがり」は海水から食塩を作るときに残る液体のことです。日本では昔からこのにがりを使って豆腐を作ってきました。先ほども少し触れましたが、添加物というと化学物質を想像しがちですが、天然由来のものもあるということです。 また、パンや醤油など多くの食品に使用されている「酵素」や、小麦粉に混ぜることで中華麺の弾力性を生み出す「かんすい」なども食品を作るのに不可欠な添加物の一つです。

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