腐蛆病(ふそびょう)

腐蛆病(ふそびょう) とは

(画像は本文と関係ありません。ただの可愛いミツバチです。)

腐蛆病は細菌が幼虫に感染して起こる病気です。生まれて二日以内に病原体を含む餌を食べると発病してしまいます。生まれてから三日以上が経過しているミツバチが病原体を含む餌を食べても発症しません。感染すると幼虫は死んでしまいます。
腐蛆病は家畜伝染病(法定伝染病)に指定されており、感染していることがわかったら家畜保健衛生所へ届け出をし、群を焼却処分(燃やして全員殺してしまうこと)する必要があります。

 腐蛆病には、ヨーロッパ腐蛆病とアメリカ腐蛆病という二種類があります。
 ヨーロッパ腐蛆病に感染した幼虫は生後四日目、五日目に死んでしまうことが多く、死んだ幼虫は灰黒色になります。ヨーロッパ腐蛆病は比較的深刻な病気ではなく、人間が手をかけなくても自然治癒することがあります。しかし重い病気でないだけに、長期化しやすい傾向にあります。
 アメリカ腐蛆病は、ミツバチの病気の中で一番重いものとされています。巣房にふたがされていない状態で死んだ幼虫の死体は外に捨てられるのですが、巣房にふたがされた後に巣房の中で死んだミツバチの死体は巣にくっついてしまいます。働きバチはその死体を巣の外に運び出そうとするのですが、死体は巣にくっついてしまって運び出せません。運び出そうしたときに働きバチに菌がついてしまい、その働きバチが巣の中を動き回ることで感染が拡大します。
アメリカ腐蛆病にかかったミツバチの死体はピンセットなどで巣房から出そうとすると、糸を引くという特徴もあります。

対策

感染してしまうと巣を焼いて感染拡大を防ぐしかなくなってしまうので、予防が重要です。
腐蛆病対策として最も有効なのは、春先に「ミツバチ用アピテン」を投与することです。ミツバチが蜜を集めない春の前や秋の終わりに巣に薬を入れましょう。
ヨーロッパ腐蛆病は感染力がそこまで強いわけではないので、私たちの軽い風邪のときのように、自然治癒する(自身で治す)こともあります。とはいえ、かからないに越したことはありません。
養蜂に使う道具をきちんと消毒することも腐蛆病対策になります。



参考文献
Rowan Jacobsen 『蜂はなぜ大量死したのか(原題 Fruitless Fall)』 文芸春秋、2009年
久志冨士男 『ニホンミツバチが日本の農業を救う』 高文研、2009年
越中矢住子『ミツバチは本当に消えたか』 SoftBank Creative、2010年
一般社団法人 日本養蜂協会 ホームページhttp://www.beekeeping.or.jp/