養蜂家の方へ 愛を込めて

観光農園

 写真は、玉川大学のミツバチの巣箱です。花の中に置かれている巣箱はとても写真映えします。
 これは、ミツバチ農園を一つの観光名所とするためのものです。ミツバチが蜜源とする菜の花やクローバーのような植物は、過疎化が進んだ地域の耕作放棄地などで多く自生しています。そこで、ミツバチを利用することを提案します。
 都会で暮らす人の多くは、自然の生き物と触れ合う機会が少なく、たまに出るゴキブリと闘う程度しかありません。そこで、私たちが提案するものは、大自然の中で花から花へと蜜を集めて健気に働いているミツバチや、その巣箱をガイド付きで見て回るツアーを開催するというものです。花の中にいるミツバチはめったに刺さないと言われています。ハチをあまり知らない人はミツバチをスズメバチと同じように捉えてしまうことが多いですが、ミツバチはそばにいるだけで刺してくることはありません。セイヨウミツバチは昔からの家畜化で、性格が穏やかで蜜を多く作るものが選ばれ飼育されているので、よっぽどのこと(巣からはちみつを取るために手荒に扱うなど)がなければ刺しません。また、ニホンミツバチは、セイヨウミツバチのように、採蜜の時に煙でいぶす必要がないほど性格が穏やかです。面布や防護服をつけること、注意事項の説明をしさえすれば、安全の問題は少ないと考えられます。
 万が一刺されても、玉川大学農学部の佐々木教授によると、ミツバチは針も小さいので刺された瞬間の痛みは注射針よりも小さいそうです (ミツバチの針から毒が注入されるので後を引く痛みはあるそうですが)。もちろん、人によっては何回か刺されるとアレルギー症状が出てしまう可能性があるので、注意は必要とのことです。
 玉川大学で生態の研究のために飼われていたミツバチは、巣の内部が見えるように巣板を一枚ずつ分けてガラスケースで仕切られていました(写真)。直接ミツバチに近づくのは怖いという人でもガラスケース越しに見ることができるのではないでしょうか。私たちも玉川大学に見学させていただいた時は、スズメバチのシーズンだったこともあり外で直接巣箱に近づいたときには羽音も大きく刺されそうな気がして、ゆっくりハチを見る余裕はありませんでした。しかし、室内にあったガラスケースの中の巣は安心感からいつまでも見ていられました。

 施設の周りには蜜源となる植物を積極的に植えます。冬の終わりには梅の花、春には菜の花や桜、初夏にはレンゲ畑などの花畑が一面に広がり、ピクニックにもぴったりです。大自然の中で花から花へと蜜を集めて健気に働いているミツバチや、その巣箱をガイド付きで見て回るツアーを開くのはどうでしょうか。
 ミツバチの巣板から精製した蜜蝋からろうそくを作る体験会を開きます。蜜蝋は昔から教会などでろうそくに使われていました。良い香りと体に優しい成分、融点の高さが特長です。ろうそくは、形を自分の好きなようにすることもできます。

 働くミツバチを見学した後には、はちみつの試食をします。さっきまで見ていたミツバチたちが作った、高温の加熱処理をしておらず混ぜ物や不純物の入っていない、天然で美味しいはちみつを召し上がってもらいます。それによってミツバチだけでなく、はちみつの良さも伝えられるのではないでしょうか。はちみつの試食だけでなく、採れたはちみつを使った料理やお土産なども売り出します。定置型の巣箱の農園で飼育しているミツバチのはちみつだけで足りないなら、幾つかの巣箱は、花が咲いている場所に巣箱を運ぶ移動養蜂型にし、単花蜜として売り出します。近くの養蜂家の方ともと連携して、はちみつを売っていただきたいです。

 ビルの屋上などでミツバチを飼うことはすでに行われています。例えば、銀座では銀ぱちプロジェクトというものが行われています。 セイヨウミツバチをビルの屋上で飼い、取れた蜂蜜からカステラなど特産品を作っています。 銀座の近くには皇居など、蜜源がたくさんあるようです。



参考文献
Rowan Jacobsen 『蜂はなぜ大量死したのか(原題 Fruitless Fall)』 文芸春秋、2009年
久志冨士男 『ニホンミツバチが日本の農業を救う』 高文研、2009年
越中矢住子 『ミツバチは本当に消えたか』 SoftBank Creative、2010年
フォーガスチャドウィック, スティーブオールトン, エマ・サラテナント, ビルフィツモーリス, ジュディー アール  『ミツバチの教科書(原題 The Bee Book)』 エクスナレッジ 、2017年
一般社団法人 日本養蜂協会 ホームページhttp://www.beekeeping.or.jp/
銀座ミツバチプロジェクト ホームページ  http://www.gin-pachi.jp/owner