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メンデルの法則 ー遺伝の基本法則ー

これまでは、遺伝のもととなる遺伝子やDNAについてみてきました。それでは実際にどのように遺伝していくのか見ていきましょう。

メンデルの発見

チェコの司祭だったメンデルは遺伝の仕方に興味を持ち、何らかの粒のようなものが遺伝を決めていると考えました。そこでメンデルは修道院の庭でエンドウマメを使った実験を行いました。
まず、エンドウマメの背丈の違いに注目し、背丈が高いエンドウマメと背丈の低いエンドウマメにわけ、自家受粉・種の収穫・種まきを何回か繰り返すことにより、必ず背丈が高くなる種子と 必ず背丈が低くなる種子の収穫に成功しました。(このように世代が変わっても性質(形質)が変わらない系統を純系といいます。)

優性の法則の発見

メンデルはつぎに、背丈が高くなる遺伝子の純系と背が低くなる遺伝子の純系を掛け合わせました。すると、すべてのエンドウ豆が背丈の高いものとなりました。 メンデルはこの結果から、優性の法則を発見しました。この場合、背丈が高くなる形質を優性、低くなる形質を劣性となります。 優性の法則は、「背丈が高くなる」遺伝子と「背丈が低くなる」遺伝子(このような関係を対立遺伝子といいます。)のうち、 「背丈が高くなる」遺伝子のような優性遺伝子が発現することをいいます。

分離の法則の発見

メンデルはさらに、背丈が高いエンドウマメと背丈の低いエンドウマメを掛け合わせたエンドウマメ同士を掛け合わせました。そして種子を採取し育てると、背丈が高いものと背丈のものの数 比率が約3:1となりました。メンデルは背丈の違いだけでなく、種子のしわの有無、色の違いで分けて同じように実験しました。するとどれも同じようにおおよそ3:1(1:3)となりました。

この遺伝子は親の遺伝子(AAとaa)が掛け合わさったものなので、上の表のようにすべてAaとなるはずです。 これらさらにを掛け合わせると上の表のように優性形質が現れるものと劣性形質が現れるものの数の比率は3:1になっていることがわかります。 このように対立遺伝子が分かれて、別々の生殖細胞に入ることを分離の法則といいます。

独立の法則

また、背丈の高さ、種子の色、種子のしわの有無などは互いに関わり合わず、独立して遺伝します。これを独立の法則といいます。 ただ、メンデルが発見した遺伝法則は基本ではあるものの、法則通りになるには特殊な条件下でないといけません。実際の遺伝の仕方はより複雑なのです。

現在の遺伝の基礎を作ったのは司祭のメンデル。最初にこの発見を発表したときはあまり注目されませんでしたが、次第に注目されるようになったのです。

  • 優性の法則:対立遺伝子のうち優性遺伝子が発現する。
  • 分離の法則:減数分裂を起こし対立遺伝子の一組のうち一つだけ生殖細胞に入る。
  • 独立の法則:対立関係以外にある遺伝子同士は影響を与え合うことはない。
メンデルさんは今のバイオ医療の基礎の基礎を築いたといっても過言でもありませんね!

参考文献 書籍

  • ブルーバックス カラー図解 EURO版 バイオテクノロジーの教科書(下)
    (ラインハート・レンネバーグ、講談社・2014年 5月21日)
  • マンガでわかるゲノム医学
    (水島-菅野純子 著 羊土社・2018年 8月5日)
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