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最初の人工制限酵素「ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)」

ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は3種類の人工制限酵素のうち、1996年に開発された最初の人工制限酵素で 2000年代中ごろに初めてヒトの細胞でゲノム編集がなされました。ZFNは、DNA結合部分は30種類のアミノ酸でできた 「ジンクフィンガー」というものがいくつか連なってできたものと切断酵素である「Fokl」というもので構成されています。

ジンクフィンガーはひとつで3つの塩基を認識することができます。これを利用して、ジンクフィンガーの種類を変えることによって指定した塩基を 認識することができるようになりました。たとえば、ジンクフィンガーを8つ組み合わせれば、24の塩基を認識できます。特定の24の連続した塩基配列は 理論上哺乳類には1か所しか現れないので、確実に標的を操作することができます。 Foklは、誤った場所でDNAを切断するのを防ぎ、目的の場所を切断するために、DNAの両側に2つそろったときにだけ切断するという性質を持っています。

第2世代「タレン(TALEN)」

TALENは植物の病原菌からの発見がもとに開発されたもので、その病原菌は「タルリピート」と呼ばれる34個のアミノ酸配列が繰り返し現れるたんぱく質を持っており、 ZFNと違い、タルリピートと塩基が一対一対応であることが決定的な違いです。

ゲノム編集は「ZFN」や「TALEN」などの「人工制限酵素」でDNAの標的の塩基配列を探し、DNAを切ることによって行われます。

これでゲノム編集技術は完成なのでしょうか?

参考文献 書籍

  • 岩波科学ライブラリー 難病にいどむ遺伝子治療
    (小長谷正明、岩波書店・2016年 11月9日)
  • トコトンやさしい ゲノム編集の本
    (宮岡佑一郎、B&Tブックス 日刊工業新聞社・2019年 3月19日)
  • マンガでわかるゲノム医学
    (水島-菅野純子 著 羊土社・2018年 8月5日)
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