季節:春
20時南中:5月3日
代表的な星:ミザールとアルコルの二重星
その他:北斗七星…北極星を見つける手がかりになる星のならび。
〜神話〜
ギリシア神話では、おおぐま座の大きな熊は、もともとは美しいニンフ(森や泉の精)のカリストの姿で、こぐま座は、その子アルカスの姿と伝えられていました。
カリストは、月と狩りの女神アルテミスの侍女で、いつもそのお供をしていました。
ところが、そのカリストがいつの間にか大神ゼウスの愛を受け、ゼウスの子を宿してしまったのです。その秘密を知ったアルテミスはひどく怒り、泣いて許しを乞うカリストに呪いの言葉をあびせかけました。すると、カリストの姿はたちまち熊となってしまいました。驚いた猟犬たちはカリストを追い立てて、カリストは森の奥深く逃げ込んでいかねばなりませんでした。
やがて、15年の歳月がすぎ、カリストの子アルカスは、今では立派な狩人に成長しました。
毎日、山奥深く分け入って狩りをしていましたが、ある日、大きな牝熊にばったり出くわしました。その大熊こそアルカスの母親カリストだったのです。そしてカリストの熊は、若い狩人が息子アルカスと知るや、なつかしさのあまり、おもわず走り寄りました。吠え声をあげ走り寄る熊が、自分の母親とも知らないアルカスは、大熊が自分におそいかかってくるようにしか見えず、自慢の弓矢で大熊の胸を射ようとしました。
このようすをオリンポスの山からじっと見下ろしていた大神ゼウスは、アルカスに親殺しをさせてはならないと、アルカスも小熊の姿に変えると、つむじ風を送って天上に巻きあげ星座にしたと伝えられています。そのときに、慌ててしっぽをつかんで放りあげたため、おおぐま座とこぐま座のしっぽは、あんなにも長くなってしまったようです。
そのことはともかく、大熊と小熊のカリストとアルカス母子が、星座になったのを見て我慢できなかったのが、ひどく嫉妬深いと評判の大神ゼウスの妃ヘラです。
さっそくオリンポスの山を下って、海の神オケアノスと女神テチスのところへ出向くと、ほかの星はみんな一日に一度海に入って一休みできるのに、この母子熊だけは絶えず空をめぐり、一度も休むことのできない運命にされてしまいました。
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