バイオマス発電とは?

"バイオマス"とは、生物資源のことです。

厳密には、「再生可能な、生物由来の有機性資源から石油、石炭、ウランなどの化石資源を除いたもの」と定義されています。

"バイオマス"には栽培された作物だけでなく、生ごみや下水汚泥、家畜の糞尿、廃油、間伐材や廃材などの廃棄物も含まれます。

この"バイオマス"の特徴は、限りのある化石資源とは違い、バイオマスは自然界で再生が可能な資源です。

このページでは、この"バイオマス"を原料として得られるエネルギーを用いて発電をする、"バイオマス発電"について説明をします。

バイオマスの変換技術

バイオマスの特徴の一つとして、用途に応じて液体、気体に変換できることが挙げられます。
発電では主に固体や気体の状態で用いられます。

バイオマスを気体化するのには2種類の方法があります。

一つは熱分解を用いた方法です。
バイオマスは高温で熱すると固体(木炭)、液体、気体に分解され、これを熱分解といいます。

もう一つはメタン発酵を用いた方法です。
バイオマスを酸素に触れさせずに、微生物発酵させる方法です。
発酵によって生じたガスの65%がメタンなのでメタン発酵と呼ばれています。

それではそれぞれを用いた発電の仕組みを説明します。

バイオマス発電の仕組み

前述のとおり、バイオマスを固体と液体に分けました。
では、それぞれどのように使われるのでしょうか?
バイオマス発電を以下の4つに分けて見ました。
それぞれの発電方法について説明します。

蒸気タービン発電

バイオマスをボイラーで直接燃焼し、水蒸気を発生させます。
その水蒸気によってタービンを回し発電する方法です。

ガスタービン発電

名前のとおり気体が使われます
燃料となるガスを燃焼し、発生したガスをタービンにぶつけて回転させ発電する方法です。

ガスエンジン発電

これも気体を使います。
メタン発酵で発生させたメタンを燃料としてエンジンを動かす発電方法。
自動車用のエンジン(4サイクルエンジン)と同様の原理で動く。

バイオマス発電の仕組み

複合サイクル発電

蒸気タービン発電ガスタービン発電をひとまとめにした物。
ガスタービン発電で放出された熱を利用し、蒸気を発生させて蒸気タービンでも発電させる発電方法。

それぞれの特徴

それぞれの発電方法に特徴があり、多くの設備が特徴を生かした場所で使われています。

種類 特徴 使用例
蒸気タービン発電 大規模施設になる。熱伝導効率にすぐれている。 ごみ処理施設
ガスタービン発電 小規模な割に発電効率が高い。 熱需要の多い工場
ガスエンジン発電 小規模だが発電効率が高い。 小規模工場
複合サイクル発電 二つの方法を組み合わせているので効率がいい。 火力発電所

利用価値

「今行われている火力発電となんら変わりないじゃないか。」と思われるかもしれませんが、バイオマス燃料を用いているので環境に影響はありません。 そういうと、「バイオマスだって燃やしたら温室効果ガスが出るでしょ。」と思われるかもしれません。
確かに二酸化炭素などの温室効果ガスは出ます。
しかし化石燃料に比べてバイオマスはサイクルが短いので、ほとんどプラスマイナスゼロなのです。 この考えをカーボンニュートラルといいます。

(画像をクリックすると拡大表示されます。)

バイオマス発電の仕組み

実際に温室効果ガス排出は様々な発電方法の中でトップクラスです。

コスト

経済産業省の試算によると、1kWhあたり12.5円かかるということです。 日本の発電の平均コストは1kWhあたり6.5円なので、多少高くなっています。 しかし、太陽光発電や風力発電などのその他の再生可能エネルギーと比べると安いので、再生可能エネルギーを広げる際にコスト面では最もハードルが低いように思えます。

将来的には…

現在バイオマスエネルギーの開発が進むに当たって、様々な問題が起こっています。

一つは食料価格の高騰です。 これにより特に発展途上国への負担が大きくなっています。 つまり食料との競合を懸念しないといけないのです。

次に森林の減少です。 農作地拡大のために森林伐採が進んでいます。 温室効果ガス削減のための工夫が、温室効果ガス増加につながるという皮肉になっています。 つまり、林業とともに行うなど、持続可能な管理が重要になります。

将来バイオマスを使ってゆくには、上の問題の他に、資源の収集コストをいかにして抑えるかを考えなければならないでしょう。 上記のような問題があるとはいっても、再生可能エネルギーの中で最もハードルは低いでしょう。