太陽光発電とは?

太陽光発電とは太陽電池(左図)を使い太陽の光をあてて、電気エネルギーに変換して発電するというとてもクリーンな発電機構です。

また、太陽電池はシリコン(ケイ素、Si)を用いた半導体を材料とし、 この半導体の伝導型の異なるもの2つと、反射防止膜、電極によって構成されています。(詳しくは太陽光発電の仕組みを参照)

このように簡単な構造の太陽電池ですが、未だコスト面などに問題があります。 このように色々な利点や問題についてこのページでは解説していき、太陽光発電の未来についても考えていきます。

太陽光発電の分類

ここでは太陽光発電に用いる太陽電池について解説していきます。 まず、太陽電池の構造ですが、これはセルと呼ばれる機構が集まり、モジュールと呼ばれる物を構成しています。

このセルは伝導型の異なる半導体(p型とn型)と電極の3つを集めたもので、形状は厚さ0.15mmほどで、10~15cmの正方形です。このセルの発電能力は電流が3A、電圧は0.5V、直流で電力は約2Wになります。 この数値を見ても解るとおり、一つのセルでは発電能力はとても低いです。しかし、セルを直列つなぎにすれば電圧が、並列つなぎにすれば電流がそれぞれ上がるため、ある程度の電力を得ることができます。

そしてこのようにセルを集めて、パッケージ化した物がモジュールというわけです。 モジュールは1~1.5mぐらいの長方形で、厚さは5cm、発電能力は150~180W程の物です。 そして、このモジュールを集めて屋根などに設置できる状態にしたものをアレイといいます。

このアレイが実際に住宅などに設置される物となります。

太陽電池の仕組み part1

次に、太陽電池はがどのようにして発電を行っているのかについて解説していきます。(解説動画はギャラリーにあります。) 太陽電池は前ページでも解説したとおり、p型n型の半導体を持っています。(図1)

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この2つの異なる半導体はpn接合という連続的な接合を行っている状態になっています。 n型半導体にはマイナスの電荷(以下-電子)を持つ電子があり、p型半導体にはプラス電荷の持つホール(以下+ホール)と呼ばれる電子の抜けた穴があります。(図2) 尚、このホールは移動する粒子と考えることができます。

太陽電池の仕組み part2

そして、この電子等はpn型接合した際に、-電荷はp型半導体に、+ホールはn型半導体にそれぞれ拡散します。 すると(図3)のように空乏層と呼ばれる層が作られます。

この空乏層は詳しく見ると(図4)のように、n型半導体側には+に電荷したイオンが、p型半導体側には-に電荷したイオンがそれぞれあります。 そのため、+側から-側へ(つまり、n型からp型へ)電界(電気の力)が生じます。 すると、この電界は、p型からn型へ+ホールが動こうとする流れ、n型からp型へ-電子が動こうとする流れを妨げ、壁の役割を持ちます。(図5)

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太陽電池の仕組み part3

このような状態の場合、p型n型の電荷は釣り合い安定します。 しかし、この状態で空乏層に光が当たると、光エネルギー(光子)によって、接合部分の-電子と+ホールが叩き出されます。(図6)そして、生じている電界によって-電子はn型半導体へ、+ホールはp型半導体へ移動します。すると、電子を外に出そうという動き(起電力)ができます。 この起電力は光に当たっている間中続くため、これを(図7)のように使用するため、電流が流れるというわけです。 尚、n型半導体側に戻ってきた-電荷は+ホールと結合するため、電荷が消えることなく、光がある限り半永久的に使用することができるわけです。

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p型n型半導体

それでは、ここまでよく出てきたp型n型半導体について解説していきます。 そもそも、半導体とは、金属などの電気をよく通す導体とも、ゴムやガラスなどの電気をまったく通さない絶縁体とも違い、外部からの刺激や、材料の純度によって、電気を通したり通さなかったりする物体のことです。

この半導体には2つの種類があります。真性半導体不純物半導体です。 真性半導体は不純物をまったく含まない半導体のことで、その状態ではほとんど電気を通さない状態にあります。 そのため、人工的に不純物を添加した、不純物半導体を太陽電池では用います。 n型半導体はP(リン)を添加して、-電子を過剰に含む状態を作り出したもので、p型半導体はB(ホウ素)を添加して、+ホールを過剰に含む状態を作り出したものです。(ちなみにn型p型というのは、それぞれ-の意味であるnegativeのnと、+の意味であるpositiveのpのことです。) ここで添加する不純物の割合はシリコン原子の1万~1000万分の1程度ととても微量です。

太陽電池の種類 part1

太陽電池に使われる半導体はシリコン(ケイ素)が一般的ですが、この他にも太陽電池に使用することができる物質があります。 シリコンは周期表(下図)で見れば分かるとおり、14族の元素です。

つまり、14族であればいいため、ゲルマニウム炭素なども使われます。 ここまで一般的な太陽電池について解説してきましたが、太陽電池には他にも色々な種類があります。ここではそれらを紹介していきます。 太陽電池は材料別に見ると、「シリコン系」「化合物系」「有機物系」に分けることができます。

周期表(クリックで大きく表示)

太陽電池の種類 part2

ここで取り上げるのは、シリコン系ですがこれは単結晶シリコン太陽電池多結晶シリコン太陽電池に分かれます。 単結晶シリコン太陽電池は最も歴史があります。変換効率も現在実装されている物の中ではかなり高い15~19%です。

> しかし、製造過程に非常に手間がかかるためコスト面で問題があります。 その問題を解決したもの、それが多結晶シリコン太陽電池です。発電効率は12~16%と劣りますが、大量生産が可能なため、現在最も生産されている太陽電池です。

他にも有機薄膜太陽電池といった、発電効率は高くないものの、室内などでの使用が可能で超薄型なために、電卓時計などに使用されるものもあります。

(写真はギャラリーにあります。)

太陽光発電の利用価値と将来性 part1

この太陽光発電はこれ以外の発電方法に比べ、どのくらいの利用価値があるのでしょうか。 まず、太陽光発電の長所ですが、これまで述べてきた通り、太陽光発電は太陽光を発電に使用します。そのため、CO2をまったく排出しません。

また、原子力発電や火力発電、水力発電などと比べ、格段に安全であることや、風力発電や潮力発電などといった、場所による抑制がないことも長所の一つです。比較的小規模な発電機構のため、個人での使用が可能な点も長所といえるでしょう。

では、短所は一体なんでしょうか。主に挙げられる短所としては、下がってはいるものの他の発電に比べコストが割高であることや、気候や時間によって太陽光があたらないために制限されるといったことなどです。

太陽光発電の利用価値と将来性 part2

気候や時間に関しては人間の手でどうにかできる問題ではありませんが、コスト面においてはまだまだ改善の余地はあると言えます。

コスト面の改善というと、太陽電池の価格を下げることが先決に思えますが、何もそれだけではありません。というのも、コスト面の改善というのは発電量に対するコストの改善な訳ですから、発電効率を大幅にアップすることでも改善することは可能な訳です。 発電効率を上げる研究は、進められていて、主に集光型太陽電池量子ドット太陽電池などがあります。これらについて説明すると、集光型太陽電池は集光用レンズを用いて小さい太陽電池に多くの光を当てることで発電効率を高める方法です。

量子ドット太陽電池はp型n型接合子の間に3次元的に正しく配列させることでエネルギー変換効率を高め、発電効率を飛躍的に高めることが可能なものです。 このように短所を埋めようと太陽光発電は日々進化しているのです。

ギャラリー

アニメで分かる! 太陽光発電(別ウィンドウ)

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