食糧問題の起こる背景には人口問題があると言われています。
人が増えれば、食べる量も増えますね。
現在、世界の人口は約70億人ですが、予測では、2025年には80億人、2045年
には90億人を超えるとされています。
しかし、地球が養えると言われている人口は、最大80億人だそうです。
このままでは、2045年には10億人分の食糧が足りなくなってしまいます。
しかし近年、もっとおいしいものをと、食の飽食化が進んでいます。
「胃袋の数」も増え「胃袋の質」も上がり、肉食化していくと、どんどん食料は
不足してしまいます。
食糧の需要と供給のバランスが崩れれば、食糧危機へ向かってしまうのです。
「食糧危機」とは「食量が明らかに不足していて、社会の混乱を招くこと」です。
そのためインドや中国など、新興国の人口増加と、経済成長による食の変化も心配
されます。経済が豊かになれば、豊かな食を求めますから。
さて、「食量が不足して、社会の混乱を招くこと」とは具体的にどういったこと
でしょう?
おなかがすくと、人はイライラします。
それと同じで、食糧が不足したり、急激に食糧の価格が跳ね上がって食べ物が
手に入らなくなると、国民や民衆には不満がつのっていきます。
そして、その不満がたまりにたまって、暴動や争いを起こすのです。
30年続いたエジプトのムバラク政権崩壊などの民主化革命がいい例です。
この民主化革命は、高い失業率や経済格差に並んで、食品の価格が跳ね上がった
ことが原因でした。
このことから考えて、人口が増えたことによって起こる「食糧危機」は戦争をも
引き起こしかねないのです。
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<用語のまとめ>
・新興国
インドや中国など、投資や貿易が盛んになり、急速に経済が成長している国のこと。
・ムバラク政権
エジプトで1981年から続いたムバラク大統領による政権。2011年のエジプト革命により崩壊した。
・(エジプト革命)
2011年1月よりエジプトの国内外で発生した大規模な反政府デモ
・リーマンショック
アメリカの大手証券会社・投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻から始まった、世界的な金融危機および世界同時不況のこと。
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