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仮想水貿易を通じて見る水問題

 「仮想水の考え方」で述べたように、地球全体でみれば、仮想水貿易によって作物を生産するのに必要な水の量を抑えられているのは事実です。世界で仮想水を多く輸出しているのはアメリカやカナダです。これらの国は小麦、トウモロコシなどの作物を、栽培により多くの水が必要な暑い国々へと輸出しています。

 しかし、仮想水貿易によって水不足が解消せず、逆に自国の水事情を悪化させている国も多くあります。その一番わかり易い例が、綿花栽培国です。エジプトやスーダンではナイル川、パキスタンではインダス川、オーストラリアのマレー川、ロシアのアラル海などです。パキスタンは綿花栽培に一年間でインダス川の総流量の三分の一近く、50立方キロメートル以上もの水を使っています。これはインダス川を涸らすのに十分な量です。

 またコーヒーや砂糖などを栽培している国の中にも、深刻な水問題に悩まされている国があります。

 私たち日本人はパキスタン産の綿花を使った衣料品などを消費することによって、その国の水問題に間接的に関わっているのです。

 世界全体で見れば作物の栽培に必要な水の量を減らすことのできる仮想水貿易ですが、作物の種類、栽培する場所によってはその地域の水問題を助長してしまうという問題点もあります。






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