日本の宇宙開発の深い理解を目指す
ひまわり
「気象衛星ひまわり、と言えば宙子も知っているじゃろう?」 |
「テレビの天気予報なんかでよく聞く名前ですからね。 ひまわりは7号まであるんですよ。知ってました、博士?」 |
「おぉ、よく調べておるのう。 では宙子や、初代ひまわりからひまわり5号と ひまわり6号、7号の間にはひとつ違いがあるのじゃが それは知っておるかの?」 |
「う……それは知らなかったです」 |
「ふふふ、わしのほうが一枚上手だったみたいじゃの。 そういう点も含めて『ひまわり』を説明していくかの」 |
ひまわり5号の実際の画像(c)JAXA
GMSとMTSAT
「違いって一体何ですか?」 |
「実はの、衛星としての目的が違うのじゃ。 ひまわり5号までは 『静止気象衛星GMS(Geostationary Meteorological Satellite)』 世界気象機関の地球大気観測計画の一環として打ち上げられ 地球の気象状況を観測することが主な目的じゃった」 |
「なるほど、まさに『気象衛星』だったんですね」 |
「現在活動し、我々に気象情報を提供してくれているのは ひまわり6号、そしてひまわり7号じゃ。これらは 『MTSAT 運輸多目的衛星(Multi-functional Transport Satellite)』なのじゃ。 国土交通省と気象庁が共同で開発したため、このような衛星となった。 というのも衛星開発にかかる莫大な予算を、気象庁単独では捻出出来なかったのじゃ。 そこで国交省航空局の航空管制衛星と合体させたため、このような 形式となった。そのため5号までと比べて機体も非常に大きい」 |
「ってことは気象観測以外にも仕事があるんですか?」 |
初代ひまわりの最初の撮影画像(c)JAXA
「そのとおりじゃ。MTSATには気象ミッションと航空ミッションがある。 気象ミッションというのは文字通り、光学系機器を用いて気象を観測することじゃ。 たとえばこれは初代ひまわりが最初に撮影した気象画像じゃ。 この写真が撮られたときから、ひまわりは天気予報に使う気象画像を 日本のみならず東アジア、太平洋地域の諸国に提供し続けている」 |
「私がちゃんと今日傘を持ってこられたのもひまわりのおかげですね」 |
「続いて航空ミッションじゃ。 このミッションでは、ひまわりは地上と航空機の間で行われる通信を中継しておる。 また、カーナビ等に用いるGPSシステムの測位精度を補強している」 |
「気象だけかと思っていたら、意外と多方面で活躍しているんですね」 |
いつでも地球を向いている
ひまわり7号(c)JAXA
「これが現在、われわれの生活を補助してくれているひまわり7号じゃ」 |
「画像があるとイメージが掴みやすいですね、やっぱり」 |
「2014年、2016年にこの後継機、いわゆる『ひまわり8号』『ひまわり9号』が
打ち上げ予定となっておる。今回からは地球観測機能を大幅に強化して
「静止地球観測衛星」となる予定じゃ。 寿命は現在の10年から14年へと長寿命化し、解像度や観測頻度が増すため、 データ量は現在の50倍にもなるといわれておる!」 |
「そうなったら私たちの天気予報がより高精度になるのは間違いないですね。 ところで博士、『ひまわり』という愛称の由来を知っていますか?」 |
「む……なんだったかの。忘れてしまったわい」 |
「しょうがないですね、博士ったら。 ひまわりの花は、いつでも太陽に向かって花を咲かせて、時間が経つにつれて その花の向きを変化させる、っていうじゃないですか」 |
「ほう。そう言われるとその通りじゃ」 |
「気象衛星『ひまわり』はいつでも地球を同じ方向を見ているし 一日一回地球を回っているでしょう? だからひまわりの名がついたんですよ!」 |
「!! ……なるほど。人生でも一、二を争う衝撃の事実じゃ」 |
「ついに博士の知らないことを見つけ出しましたね、私!」 |
「うーむこのままでは、宇宙博士の名を宙子に 譲らなくてはならんかもなぁ」 |
「今、この場で受け継いだっていいんですよ?」 |
「そのためには、このサイトで学んだ宇宙開発の知識がちゃんと身に ついているか、クイズをして試してみないといかんのう。 この結果次第によってはもう一時間、みっちりと補習じゃ!」 |
「えっ、えぇーっ!? 博士、それは聞いてないよぉーっ!」
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