「はやぶさ」

2010年6月13日、小惑星探査機「はやぶさ」は
7年間にわたる大宇宙航海を経て、地球に戻ってきました。
はやぶさというものはどんなものか、対話形式で紹介していきたいと思います。

ーはやぶさー

はやぶさ
はやぶさ(c)JAXA

「はやぶさってなに?」
「はやぶさとは2003年5月9日に打ち上げられた小惑星探査機の名前じゃ。はやぶさが種子島から宇宙にたったのじゃよ。」
「うーん、よくわかりません、そもそも小惑星探査機、目的ってなんですか?」
「小惑星探査機というのは字の通り、探査機本体が目標惑星に降下・接地し、小惑星表面の塵や気体、砂を採集するものじゃ。
はやぶさは、惑星「ネレウス」の探査を目的としてつくられたのじゃが、
技術の問題で糸川博士の名前から命名された惑星「イトカワ」に探査目標に変えたのじゃ。」
イトカワの衛星写真(c)JAXA
「うん、わかった気がする!はやぶさの名前の由来について教えてください!!」
小惑星探査機「はやぶさ」小惑星のサンプル採取が1秒ほどの着地と離陸の間に行われる様子をハヤブサに見立てたからと言われておる。
「はやぶさってカッコイイー! でもはやぶさって何が始まりだったのですか?」
「はやぶさは、ペンシルロケットから始まったのじゃ。」
「ペンシルロケット?」
「そう、「ロケット博士」こと、糸川英夫博士が1954年にわずか23cmの鉛筆のようなロケットいわゆるペンシルロケットを飛ばした。それが日本の宇宙開発の始まり、いわば原点じゃ。」
「へぇ〜!そうなんだ、じゃあ博士!車は石油を使って走りますが、宇宙空間にいるはやぶさは何を動力として動いていたか教えてください!」
「はやぶさはイオンエンジンを動力としていたのじゃ!」
イオンエンジン(c)JAXA
「イオンエンジン?イオンってどこかで聞いたことある気がするなぁ…わかりやすく教えてください!」
「わかりやすくいうと、イオンの反応で静電気を起こして、 それを動力としているのじゃ
なので、エコじゃぞ、エコ。燃費もいいんじゃ。」
「ふーん、一見聞いただけだとすごそうにきこえるー!」
「そうじゃ、昔アメリカがイオンエンジンについて研究していたのじゃが、
これは実用性がないということで、研究をストップしてしまったのじゃ、
日本がイオンエンジンに目をつけ、研究に研究を重ねていって、
そのイオンエンジンを世界で初めて小惑星探査機に
搭載した
のじゃ。
他国からはイオンエンジンを搭載している探査機なんて…と
バカにされていたのじゃが、
無事に任務を終えて地球に戻ってきたことで、
イオンエンジンのすばらしさと、日本の宇宙技術の高さを
世界に知らしめることができたのじゃ!!
「おー!さすが技術大国日本ですね!やっぱりすごいです!ばんざーい!」
「じゃが、すべてうまくいったわけではなかったのじゃ。」
「どういうことですか?」
「イオンエンジンは最初の点火時に、ABCDエンジンのうち、
Aエンジンが不調して運転中止となったのじゃ。」
「えぇー! それは大丈夫なの?」
「もちろん、あらゆるすべての場合を想定しているので、これも想定内。
代わりのエンジンで問題なく計画は進められたのじゃ。
問題がなく2年余りがたった…しかし新たな問題がはやぶさを襲うのじゃ。」

「新たな問題…?」
「3基のリアクションホイール、いわゆる姿勢制御装置が
1機故障してしまったのじゃ。
宇宙では少しの推進力があれば永遠とそっちのほうに
いってしまうので(慣性の法則)、
少しずつ目標に向けて機体の進行方向を
変えなければいけなかったのじゃが、
それが1機壊れてしまったのである
この問題も想定内で残りの2基で制御することができたので、
大惨事にはならなかったのじゃ。
しかし!ここで初めて予想外のことが起きるのじゃ。」
「なんでですか!」
「なんと、もう1基壊れてしまったのじゃ。」
「えぇ…それって!」
「そうじゃ危機的状況じゃ、関係者ももう諦めかけた…じゃが諦めなかったのじゃ。 化学推進エンジンをつかって姿勢制御をすることにしたんじゃ。」

「でも、エンジンだから燃料がいるわけですよね、燃料ぎれにならないの?」
燃料切れにならないためにすぐに徹底した節約プログラムを開発してはやぶさに送ったのじゃ。」
「おー、さすが宇宙関係者ですね!インテリジェンス!」
「じゃな。」

そして…ついに!

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