『シルバー・スヌーピー賞』という名前の賞がある。

「スヌーピーっていうのは、あの有名なスヌーピーですか?」

スヌーピー・バッジ
(c)JAXA
「うむ、今想像しているスヌーピーのことで合っているぞ。
実際に贈られるのが、今右側に出ている画像のような純銀製の宇宙服を着たスヌーピーのバッジじゃ。
このほかにも、宇宙飛行士からのサイン入り感謝状が受賞者に贈られるそうじゃ」
「わぁ、それはとても名誉な賞ですね。ところで一体どんな人に贈られるんですか?」

アメリカ航空宇宙局(NASA)から有人宇宙飛行ミッションの成功の為に大きく貢献した人に贈られる。
たとえばスペースシャトルや国際宇宙ステーションなどの業務において、
コスト削減やより良いシステムの運用、装置の性能向上などの業績を果たした人に贈られるのじゃ」

番犬 スヌーピー

「ところでこの賞が始まったきっかけは一体何だったんでしょうか? もしかしてスヌーピーが可愛いからですか?」

「確かにスヌーピーは可愛いかもしれんが、それとは理由は別じゃ。
話は、NASAが設立して間もない1950年代、1960年代の マーキュリー計画、ジェミニ計画の頃までさかのぼる。
その頃の計画で発生した問題の多くは、NASAの職員個人の不注意やミスが原因だとされていた。 そこで、失敗をゼロに近づけ、宇宙飛行士たちの安全を守るために、職員たちのモチベーションをあげる策が講じられたのじゃ」

「なるほど。それでシルバー・スヌーピー賞を作って、優秀な職員は表彰することでより一層業務に励んでもらいたいと考えたんですね。
でも、どうしてスヌーピーなのかがまだわかりませんよ」

「まあそう急ぐでない。安全飛行、ミッション成功のシンボルとなる存在が賞には必要だったのじゃ。
そこで選ばれたのが漫画「ピーナッツ」のキャラクターであった
スヌーピーじゃ。彼は国民的にもよく知られていたからのう」

「確かに日本でもスヌーピーは有名ですからね」

「そして有名だったからだけが理由ではないのじゃよ。
スヌーピーには『有人宇宙飛行の安全、成功を見守る番犬』という
大きな意味が込められているんじゃよ」

「スヌーピーがいつでも宇宙飛行士たちの安全を見守っているように、職員の皆さんもミッションが安全に成功するために全力を尽くしてください、という意味なんですね!」

「そういうことじゃ。まさに有人宇宙飛行計画のシンボルなのじゃ。
近年では、2010年に日本の民間宇宙開発関連企業『JAMSS』の
奈良和春さんという方が長年宇宙飛行士訓練の業務に携わってきた
ことを称えられて、シルバー・スヌーピー賞を受賞しておるぞい」

「シルバー・スヌーピー賞、私も目指してみようかな!」

「まずは有人宇宙飛行計画に携わるところからじゃの。
そのためにはもっと勉強する必要があるんじゃないかのう?