犠牲になった人のほとんどが火災の時に一番危険である煙によるものである
火災では、火から逃げることももちろん大切だが、忘れてはいけないことは煙に巻き込まれてはいけないということです。 火が広がるスピードよりも煙が広がるスピードのほうが圧倒的に早いです。
火災の煙は、まず熱により空気より早くなり上昇を始めます。その後、天井などにあたるなどして横方向に広がります。煙の広がるスピードは、 垂直方向に毎秒3〜5mで、水平方向に毎秒0.5〜1mと言われています。
拡散した煙は、火元から遠ざかるにつれて温度が下がり、重くなります。すると、徐々に下降して視界を遮るようになり、 初期は白かった煙が徐々に黄色くなり、最後には黒煙に変化します。
黒煙になってしまうと、視界はほぼ真っ暗になってしまい、その中で方向感覚を失ってしまうと恐怖によりパニックに陥ってしまう場合が多いです。 住み慣れた家でも避難に時間がかかってしまいます。
火災の煙は不完全燃焼による一酸化炭素などが含まれており、その高温の煙を吸ってしまうと気道や肺などが火傷してしまい、それだけではなく、 一酸化炭素と血液の中にいるヘモグロビンが結合するため体内に酸素が運ばれなく なってしまい、呼吸困難に陥り、体の自由が利かなくなってしまいます。 これらの症状は一瞬のうちに起こり、死に至るケースが多いです。
◆煙の色が白い場合
・短い距離の場合は、息を止めて走り抜けること
・タオルやハンカチで鼻や口を覆い避難する
火災の際は煙をできるだけ多く吸わないようにするのが最善です。 ハンカチやタオルは濡らしたほうが効果は大きいです。手元にない場合は衣服などで 覆いましょう。
◆煙が黒くなってしまった場合
・低い姿勢をとり、壁を伝って避難する
床の低いところに残っている空気を吸うためです。 煙で視界が利かないときは壁に手を当てて方向を確認しながら避難しましょう。