<2015.4.6.チーム170236制作>

 みつあしのかえる【三つ足の蛙】

別 名 三の丸蛙(郡山市)
出没地 三室山(斑鳩町)、吉野山
容 姿 むかしから三室山に、三足のふしぎな蛙が一匹いる。(※1)
出没方法 ○この蛙が毎年一番先に鳴きだし、この蛙の鳴き声を聞いて、他の蛙が鳴きだすともいう。(※1)
○三室山の蛙は全国の蛙のさきがけをして鳴くのだという。(※2)
○郡山城の三の丸に、梅雨になると小さな小さな約一分位の蛙が、どこからか何万となく出てくる。郡山の人は「三の丸蛙」と言っているが、昔首切りの刑にあった人の妄念だと言われている。(※4)
事 例 吉野山にある陀羅尼助本舗(藤井利三郎薬房)には、大小一対の三本足の蛙の木彫があって、同店の登録商標にもなっている。この店舗発売の金紅丹は千年近い歴史を持つらしいが、その製造の始まりは……吉野村の池のほとりに三本足のカエルがいる。それを捕まえて七日七夜トロリトロリと煎じて病人に使用すれば生き返る……という神仏のお告げを見た祖先が、製造し始めたとの由である。(※3)
アクセス
三室山(王寺町) (外部のページへ)
原風景
三室山<2015.1.3.チーム170236撮影>

藤井利三郎薬房(吉野山)の三つ足の蛙<2015.6.1.チーム170236撮影>
考 察 【性格・生まれてきた背景】
 三室山は竜田川が大和川に合流するところにあって、標高82mの小高い山です。現在は竜田公園となっていて、裾野には住宅地が広がっています。ソメイヨシノがたくさん植えられていて、春には全山ピンク色に染まります。
【実体・モデル】
 三室山というより、横を流れる竜田川に生息していたカエルではないでしょうか。
一方、吉野山の三つ足カエルは、桜の木で彫った置物がお店にあり、どうもヒキガエルがモデルのようです。ともに、後ろ足が一本です。
参考文献 ※1)斑鳩町史編集委員会『斑鳩町史』(S38.9.20.斑鳩町役場)
※2)奈良県史編纂委員会『奈良県史13民俗(下)』(S63.11.10.名著出版)
※3)碓井益雄・著『ものと人間の文化史64・蛙』(1989.10.5.法政大学出版局)
※4)編集:奈良県童話聯盟、編纂:高田十郎『大和の傳説』(S8.1.15.大和史跡研究会)