<2015.3.27.チーム170236制作>
オクリオオカミ【送り狼】
別 名 | |
出没地 | 大台ヶ原、上谷・大迫・伯母谷(川上村) |
容 姿 | |
出没方法 | ○うっかりつまづいて転んだりすると襲ってくるので、転んだ時は「どっこい、一服」と声を出して起き上がると、狼は飛びかかってこない。家に着いても、すぐには帰らんので、門口に塩をひとつかみ、わらじの上にのせておいてやると、それを食べて立ち去ったと聞いている。(※1) ○小便をなめに来るから、小便壺にふたをせよという。山道を歩いていてオクリオオカミがついても、そのまま家路をたどればよい。すべって倒れてもなにげなく「休む」と言わないと、飛びかかるという。家まで送ってくれたら、礼に草履を片方投げてやるか、塩を一つまみ置いておくという。(※3) |
事 例 | 舟木友吉(五位堂村)という人が、昔、大台ヶ原に行き夜道を歩いていた時、よく狼に後をつけられたことがあったと言う。「おくりお〜かめ」といって、倒れれば飛びつくが、決して危害を加えることはない。辻堂で休憩し、煙草に火をつけると、その火は狼の目に光ったことがあるらしい。(※2) |
アクセス |
ニホンオオカミ像(東吉野村) |
原風景 | ニホンオオカミ像(東吉野村)<2012.11.18.チーム170236撮影> |
考 察 | 【性格・生まれてきた背景】 明治38年(1905)、東吉野村において捕えられたのが日本最後のニホンオオカミでした。外国童話の『赤ずきんちゃん』に登場するオオカミは、家畜を襲う悪い動物の代表として描かれていますが、日本では、畑を荒らすシカやイノシシを退治してくれる動物でした。その時代に生きた人びとは、ニホンオオカミの習性をつかみながら、うまく共存していたと思われます。 【現在人との係わり・存在感】 ニホンオオカミとの実体験をもつ人びとは、もはや存在しません。最後のニホンオオカミが捕らえられた東吉野村(奈良県)では、等身大のブロンズ像が役場近くに設置されています。 |
参考文献 | ※1)広報「かわかみ」編集委員会『川上村昔ばなし』(2007.3.吉野郡川上村) ※2)澤田四郎作・編輯発行者『大和昔譚』(S6.10.25.) ※3)保仙純剛著『日本の民俗 奈良』(S47.11.5.発行:第一法規出版 |