もっともよごれた海!

 

 東ヨーロッパの7つの工業国に囲まれたバルト海は「世界で最もよごれた海」と言われている。このバルト海には多くの入り江や湾があり、豊かな森と複雑な地形は美しいとされている。ここには約250本もの川が注ぎ込んでいて、その周辺には約7000万人の人々が生活している。産業としては豊富な森林を利用したパルプ工業や、金属工業などがあり、バルト海を囲むようにして操業を続けている。

 バルト海はこうした工場から出る排水や、7000万人の生活排水が流し込まれている。さらに寒冷地なので農業には大量の肥料が使われている。そして原料や製品を運ぶために海運も盛んで、大量の有機物や化学物質、重金属で汚染されている。この大量の有機物質のため、たびたび海水は酸素不足になり、タラやニシンなどのかつて豊富だった魚も年々減少しているという。

 バルト海周辺にある化学工場などの重金属の使用量は、年間、水銀=60トン、鉛=1万4000トン、銅=2万7000トン、亜鉛=6万8000トンに及ぶ。また、科学物質の量は年間推定で14万トンに達している。バルト海は北海と比べると低温で海水はほとんど巡回しない。そのため1度海に入ってきた海水がバルト海を出るまでには20〜30年かかると言われている。したがって、汚染物質はバルト海の中に長期滞留し、蓄積されることになる。

 中でもPCBの汚染は深刻で、鳥類やアザラシに大きな影響が出ている。とくにアザラシに出ている被害は「北海の大量死」に結びつく可能性もあり、海の汚染問題を考える上で重要視されている。