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蛍光灯

低圧力の水銀蒸気の中での放電によって発生する紫外線をケイ光物質に当てて発光させる光源。1938年アメリカのゼネラル・エレクトリク会社で実用化された。日本では40年に法隆寺で壁画の模写のために使われたのが最初である。ケイ光灯の構造はガラス管の中に水銀蒸気とアルゴンガスが封入してあり、ガラス管の内側にはケイ光物質が塗ってある。両端に口金があり、これに電極がとりつけてある。両端の電極が離れているので、その間に放電を起こすにはくふうがいる。そのために点灯管を使う。これはアルゴン入りの豆放電管で、中の電極の一方がバイメタルになっている。スイッチを入れるとまず点灯管が放電する。この放電による熱のためバイメタルが曲がってもう一方の電極に接触する。その結果、ケイ光灯の両電極に大きな電流が流れ、電極は熱せられて放電開始の態勢になる。一方、点灯管では電極が接触したために放電が止まり電極は冷却する。冷却の結果、バイメタルの変形が回復し、電極が離れる。電極が離れるときにケイ光灯の両電極間に大きな電圧がかかり、これによって本放電が始まる。本放電によってガラス管の中では紫外線が発生するが、これが管壁のケイ光物質を 刺激して発光する。なお安定器は鉄心入りのコイルで、ケイ光灯に流れる電流を所定の電流値に抑えるために入れる。ケイ光灯は熱の発生が少なく寿命が長く、消費電力も少ないのが特徴である。しかし点灯に時間がかかること、点灯管、安定器などの付属品を要するのが欠点である。光原としてのケイ光灯は、線光源のためまぶしさが少ない。光色は電球とはまったく異なる。電球は赤い光が多いので暖かみのある光を出すが、ケイ光灯は冷たい感じの光である。このため、ケイ光灯は広い事務室や工場を全般的に明るくするのには向いているが、商店やレストランの照明、ムードを出す局部照明には適さない。また服地などの色の見え方が重要な場所では、ケイ光灯の種類を慎重に選ぶ必要がある。