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送電

電気エネルギーを発電所から消費地の配電用変電所まで伝送すること。配電用変電所から需要家に直接供給する部分は、配電(7000V以下)といって送電とは区 別している。電力事業は1882年にロンドンとニューヨークで始められ,日本でも87年に開始された。初期は小規模、短距離の配電事業にとどまっていたが、99年に至り、猪苗代湖および黒瀬川に水力発電所が建設され、1万V級の送電が開発された。大正初期には猪苗代湖と東京を結ぶ11万5000V、約200Kmの長距離送電が開始された。第1次世界大戦の影響による電力需要の急増に対して、本州中央部の水原地帯と京浜、京阪神のニ大消費地を結ぶ15万4000Vの長距離送電線が計画され、大正末期から昭和初期にわたって相次いで完成し、本州中央部の重要な幹線となっている。さらに第2次世界大戦後、日本の電力需要の急激な増加につれて、ふたたび送電線路の長さは急速に増大し、1952年にはヨーロッパの40万V送電開始と時を同じくして27万5000Vの新北陸幹線が完成して超高圧送電時代に入り、現在ではこの電圧の送電線が日本の幹線となっている。

送電線

送電を行う設備である送電線は架空送電線と地中送電線に分けられる。架空送電線路は、電流を流す導体、がいしなどの絶縁物、鉄塔などの支持物、避雷用の架空地線などから構成される。地中送電線路は電力ケーブルを地中に敷設したものである。地中送電は、都市の美観を害することなく、そのうえ落雷などによる故障も少ないので、信頼度の高い送電が行えるが、一面建設費が高く、また事故のときの修理費も高くつく。日本では特別高圧架空線路の建設が禁止になっている市街地以外はほとんどが架空線路で、地中線路の占める割合は全体の約5%にすぎない。

送電方式

直流と交流、交流の場合50Hzと60Hz、単相と三相など種々の方式があるが、交流三相3線式が最も一般的である。日本では鉄塔の両側に三相1回線ずっを配置した2回線鉄塔がよく用いられる。電力事業が始まった初期はいずれも直流を用いていた。やがて変圧器によって自由に電圧の昇降ができる交流方式に切り替えられた が、近年交直変換装置の進歩によって長距離大電力送電や海底ケーブル送電の場合などに直流が用いられるようになった。交流の場合、種々の周波数が用いられた。例えば、イギリスでは17種類の周波数があったという。今日ではヨーロッパでは50Hz、アメリカでは60Hzに統一された。日本では束京電灯がドイツ、大阪電灯がアメリカから発電機を輸入し、両系統が独立に発展したため50Hzと60Hzの両者が用いられている。送電だけを考えれば、周波数が低いほど送電線路のインピーダンスが小さいため電圧降下が小さくなって有利であるが、電気機器の製造には60Hzのほうが経済的である。したがって交直変換装置が安ければ、発電と消費 は交流で行い、送電は直流で行う方式が最も有利になる。単相と三相3線式、三相4線式(3線式に中性線を加えたもの)n相n線式を比較すると、三相3線式が同じ電力を送るのに必要な電線が最も少なくてすむ。また三相は単相に比ベて回転磁界がっくりやすく、交流電力の瞬時値の和がっねに一定であるという利点もある。

送電電圧

送電電力は電圧と電流の積で定まり、送電損失は電流の2乗に比例するので、一定の電力を送る場合、送電電圧が高いほど送電損失が小さくなる。一方、電圧を高くするとそれだけ設備が必要になるが、送電容量は電圧の2乗に比例するので、一般に送電電力が大きいほど高い電圧のほうが経済的になる。送電電圧の最高値はおおよそ20年に2倍の割合で上昇しつつあり、現在は交流ではアメリカの76万5000Vが最高,日本では52万5000Vが最高であるが,近い将来100万V級の送電が実現される見通しである。