太陽電池
光を電気信号に至換ずる光電素子のうち、とくに太陽光が当たったとき発生する電力を、エネルギー源として使用できるようにしたもの。その素子は少量のヒ素を混入したシリコンのn型結晶を薄い板状に切断し、ホウ素を含んだ高熱ガスの中で加熱して表面より数ミクロンの厚さにホウ素をしみこませてp型薄層を形成させたものである。正孔より電子のほうが多いn型層と、正孔のほうが多いp型層をこのように隣接して形成すると、その境界のpn接合にエネルギーのこう配ができる。この接合付近に禁制帯の幅より大きなエネルギーをもつ光が入射すると、価電子帯の電子はそのエネルギーを受けとって導電帯へ上がり、価電子帯には正孔が発生する(半導体)。そして電子はエネルギーの低いn型層へ、正孔は逆にp型層へと動く。太陽光がpn接合付近に当たると電子と正孔が多数発生するから、負の電荷をもつ電子が集まるn型層はより負に、逆にp型層はより正になり、両者の間に電圧が発生する。これが太陽電池の原理である。現在実用化されているシリコンを用いた太陽電池の起電力は0.6V、30mA/平方cm程度で、太陽熱の15%を利用することができる。従来、人工衛星や無人灯台などの特殊用途に使われてきたが、エネルギーの不足が心配されている今日、クリーンエネルギーとして、一般の電力源としての利用も研究されている。