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テープレコーダー
磁気テープに信号を記録する機器をいうが、一般に小型スピーカーやマイクロホンを内蔵して音を録音、再生する機器を指す。磁気テープへの録音と再生の機能を主体にした機器で、別のマイクロホン、スピーカー、増幅器と組み合わせて使うものはテープデッキと呼んでいる。1898年にポウルセン Valdemar Poulsen (1869〜1942)によってピアノ線を用いた磁気録音機が発明され、1936年磁性粉を塗った紙テープを用いた機器が、ドイツのAEG(アーエーゲー)社からマグネットフォンの名で初めて発売された。現在の型のテープレコーダーが開発されたのは第2次世界大戦中で、戦後プラスチックテープが実用化して急速に発展した。
録音時には、磁気テープが消去ヘッド、録音ヘッドと呼ぱれる小電磁石に接して定速度で走る。消去ヘッドではそれが作る磁力線により磁気テープの残留磁気が消去される。録音ヘッドではそのコイルに音声電流を流し、磁気テープが接するヘッドの3〜10ミクロンのきわめて狭い空隙(ギャップ)から磁力線を出してテープの磁性体を音声電流に比例して磁化させる。再生の場合は、消去ヘッド、録音ヘッドは動作させず、録音されたテープを録音時と同じ速度で走らせ、録音ヘッドと同様な構造をもつ再生ヘッドをテープに圧着させると、テープの磁性面の残留磁気に応じた電圧が再生ヘッド内のコイルに誘起される。これを増幅してスピーカーに流し、音を出させる。普及型は録音、再生を同一ヘッドで兼ねるが、高級機は別々に設けてあり3へッド式といわれる。
磁気テープは、べースとなるプラスチックの上に微細な磁性体の粉をバインダーと混合して塗布したもので、べースとしてアセテートやポリエステルなどが多く使用される。磁性体には、磁性の強い赤かっ色のγ型酸化第ニ鉄の0.5〜1ミクロンほどの結晶粒子がおもに用いられ、厚さ30〜40ミクロンのべ−スに10ミクロン程度の厚さで塗布してある。ほかにニ酸化クロムを用いたものもあり、録音周波数範囲が広い特徴がある。テープの幅は、一般の録音用には6.3mmのもの、カセットでは3.8mmのものがよく使われ、またコンピューターの記憶装置、ビデオテープなどでは12.6〜50.8mmの幅のものが使われる。
録音には、一般に音声電流にバイアス電流という数十kHzの高周波電流を重ねてヘッドに流す交流(または高周波)バイアス法がとられる。また電気的に、録音時は高音域を強調し、再生時は中・低音域を強調する補償回路を入れ、総合的に平たんな周波数特性を得るようにしている。このため機器間に互換性をもたせるように、各テープ速度に対して標準の再生補償特性が規格化されている。磁気テープの種類によってバイアス特性や録音補償特性が異なるので、切り替えて使用する構造の機器もある。録音の際には、入力レべルが適正でないと再生音がゆがんだり、雑音が大きくなったりするので、基隼レべル値が決められている。レべルの監視は付属のVU計やレべルオーバーを示すランプなどにより行う。また自動的にレベルを調整する回路をもつ機器もある。
磁気テープは,リールと呼ぱれる巻きわくに巻かれていて,リ−ルは直径76mm(3号)〜267mm(10号)のものがよく使われる。テープの処理方式としては、ふつうのリールを使用するオープンリール式、ケース内に2個のリールを納めてテープを往復させるカセット式、1個のリールを用い内側から引き出したテープを外側のテープにつないでエンドレスとしたカートリッジ式があり、各種の大きさのものがある。録音性能はテープ速度に比例して向上するが、録音時間は逆比例して短くなるので、録音対象によってテープ速度(毎秒2.4cm、4.8cm、9.5cm、19cm、38cm)を選択できるようになっている。テープのトラック数やトラックの取り方もモノラル、ステレオ、片道、往復、反復などや機種によって各種の方式がある。
テープ磁気録音は、消去が簡単なのでテープの反復使用ができ、ステレオなどの多チャンネル録音も容易であり、磁気テープも改良されて低速走行でも高忠実度で長時間録音が可能となり、放送やレコードの録音から家庭用まで広く普及した。またポケットにも入る超小型カセットや語学練習用のための多重録音機器、映像用フィルムや他の録音機と同期する装置など特殊な録音装置も開発されている。