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友
あり(3)
賑やか
に
食事
が
始まっ
た。
特に
席
の
指定
はしなかったが、
それなり
に
収まっ
て
いる
。
この
家
は
オープン
キッチン
なので、
私
が
サービス
の
ため
に
席
を
外し
ても
会話
に
参加
できる
の
が
うれしい
。
お
皿
をもって
順番
に
お
料理
を
とり
にいって
もらう
。
男性
陣
は「
一応
lady firstだ」といって
いる
。「
いかにも
英国
的
だな」と
クリス
(
♂
)
さん
が
軽口
を
叩く
。
お
料理
は
助太刀
があったので
かなり
見栄え
がする。
お
約束
の
ちらし
寿司
の
ほか
も
おおむね
好評
。
唯一
悔やま
れる
の
はいり
鶏
。
味
は
ともかく
、
里芋
が
煮
崩れ
して
まるで
里芋
の
マッシュポテト
和え
の
よう
に
なっ
て
しまっ
た。
日本
の
里芋
とは
やはり
種類
が
違う
よう
だ。
粘性
が
弱く
全体
的
に
ぱさぱさ
して
いる
。
しかも
、
もも肉
が
品切れ
で
代わり
に
胸
肉
を
使っ
たので
お
肉
は
ぱさぱさ
である。
似
て
非
なる
食材
を
使う
と
往々
にして
この
よう
な
椿事
が
起きる
。
それでも
英語
勉強
中
の
日本
女性
は「
こんな
食べ物
ありましたよ
ねぇ
、
ひさし
ぶり
です
ぅ
〜」と
感激
して
くれる
。
数
年
前
のNHKの
朝
の
連続
ドラマ
小説
「
あぐり
」の
サントラ
盤
のCDを
かける
。
日本
から
持っ
て
き
た
プレイヤー
の
中
に
たまたま
入れ
っぱなし
に
なっ
て
い
た
の
だが、
好き
な
の
だ。
作曲
家
岩代
太郎
氏
の
作品
の
中
でも
白眉
だと
思う
。
ヴァイオリン
独奏
の
矢部
達哉
氏
とともに
若い
世代
の
エネルギー
を
感じる
。
余談
だが
ドラマ
では「
置き去り
にして
き
た
夢
を」という
回
があって、
いつも
その
言葉
が
心
に
響い
て
いる
。
簡単
に
ドラマ
の
説明
をして「“
あぐり
″
って
主人公
の
名前
だけど“ugly(
醜い
)
″
みたい
で
おかしい
でしょ。」などと
冗談
を
言っ
て
みる
。
通じ
た
よう
だ。
みんな
器用
に
お
箸
で
食べ
て
いる
。
心配
された
ポーラ
さん
の
彼
も
真剣
な
顔
をして
お
箸
を
使っ
て
いる
。「Yummy! Yummy!(
おいしい
)」と
声
がする。
こういう
口語
を
知る
機会
も
語学
学校
では
あまり
ない
。
話題
は
さまざま
な
方向
に
飛び火
する。
基本
的
に
議論
好き
な
人種
なので
話題
に
事欠か
ない。
かなり
熱弁
を
振るう
場面
も
見
られる。
ダブリン
に
遊び
に
行っ
て
き
た
話
から
北アイルランド
問題
の
話
を
口
にするや、
一挙
に
政治
の
話
に
雪
崩れ
込ん
で
いく
。
当然
日本人
勢
に
ついていける
話題
ではないが、
自由
に
話し
て
もらっ
て
構わ
ない。
はっと
気づい
て「
話題
を
変えよ
う」と
言い
出し
て
みんな
大笑い
する。
それから
クリスマス
の
パントマイム
の
話
(
この
話
は
また
いずれ
書き
たい)から、
日
英
の
お伽
話
の
比較
、
お伽
話
における
典型
的
な
性
役割
について。
第三者
をhe or she といったり、chairmanを
chairperson
と
呼ん
だりする
現代
の
過剰
な
反応
を
クリス
(
♂
)
さん
が
茶化す
。
あまりに
唐突
な
ナンセンス
さ
に
一同
吹き出す
。
「
その
通り
、
ナンセンス
な
ん
だ、
こんな
の
は。」
クリス
(
♂
)
さん
真剣
である。
英国
人
たち
は
こちら
の
レベル
に
話
を
あわせ
て
たまに
ペース
ダウン
して
くれ
て
いる
の
が
わかる
。
ポーラ
さん
が
話題
を
うまく
振り当て
て
くれる
。
皆
が
ちゃんと
それぞれ
話
に
参加
して
いる
。
クリス
(
♀
)
さん
は
ホームステイ
の
学生
を
受け入れ
たいと
思っ
て
いる
らしく、
現に
学生
を
預かっ
て
いる
ポーラ
さん
たち
や
実際
に
ス
テイ
して
いる
日本
女性
の
話
を
聞い
たりして
いる
よう
だ。
それから
クリス
(
♂
)
さん
の
宿題
の
日本語
クロスワード
の
回答
を
みんな
で
考え
たりする。
ポーラ
さん
の
彼
も
楽しん
で
くれ
て
いる
よう
だ。
時に
英国
人
同士
で
勝手
に
盛り上がっ
て
いる
様子
を
見
て
いる
の
も
楽しい
。
談笑
する
彼ら
を
見
ながら
不思議
な
感覚
に
とらわれる
。
私
たち
が
ここ
に
来
た
時
は、
頼れる
人
は
ペニー
さん
の
他
にいなかった。
ペニー
さん
が
公私
ともに
何くれ
と
世話
を
焼い
て
くれ
た
おかげ
で、
ここ
での
生活
の
基盤
が
でき
た。
この
家
に
越し
て
き
た
おかげ
で
ポーラ
さん
に
出会っ
た。
彼ら
に
励まさ
れ
教え
られながら
少し
ずつ
交友
関係
を
広げ
て
き
た。
もちろん
同胞
の
よしみ
で
日本人
にも
お
世話
に
なっ
た。
今
では
街
で
ばったり
と
知合い
に
出くわす
こと
も
少なく
ない。
それ
は
イギリス
人
だけでなく、
日本人
だったり
同じ
よう
に
祖国
を
離れ
て
滞在
して
いる
外国
人
だったりする。
ほんの
数
ヶ月
前
は
孤独
感
に
さいなま
れ、
催し
に
参加
して
ほとんど
口
も
きけ
ずに
帰っ
て
き
て
い
た
こと
を
考える
と
夢
の
よう
である。
よい
友人
知人
に
恵まれ
た
もの
だ。
夜
も
更け
て
会合
は
ようやく
お開き
に
なっ
た。
口々
に
楽しかっ
たと
お礼
をいいながら
帰っ
て
いく
彼ら
を
送り出し
た
あと
、
急
に
ガ
ラン
とした
部屋
で「
ああ
、
しあわせ
だな」と
しみじみ
思っ
た。
(c) reikona
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