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「
男性
よ、
厨房
進出
を
果たせ
!」
昔
「
男子
厨房
に
入る
べからず」とかいう
よう
な
表現
があった。
料理
は
女性
の
専売
特許
で、
男子
たる
もの
台所
に
入る
べきではないと
考え
られて
い
た。
その
ため
、
現在
60
代
、70
代
の
男性
の
多く
は
料理
を
作っ
た
経験
が
ほとんど
ない
か、
料理
が
苦手
である。
しかし
、
今
では
料理
教室
に
かよっ
たり、
奥さん
に
料理
を
教え
て
もらっ
たりして、
週末
に
自慢
の
腕
を
ふるう
男性
が
増え
て
来
て
いる
。
特に
、
共稼ぎ
の
若者
の
カップル
の
間
で
あまり
苦
にせずに
料理
をする
男性
が
多く
なっ
て
いる
よう
である。二
人
とも
仕事
をして
いる
の
だから、
交代
で
料理
を
作っ
たり、
決まっ
た
日
に
男性
が
料理
を
担当
するという
カップル
の
話
を
よく
耳
にする。
男性
が
積極
的
に
料理
をする
よう
に
なる
と
家族
生活
の
なか
で
どの
よう
な
変化
が
起きる
か
少し
考え
て
見よ
う。
先ず
、
男性
の
立場
から
考える
と、
料理
をする
こと
によって
創造
性
を
十分
発揮
する
こと
が
できる
よう
に
なり
、
日常
生活
に
潤い
が
増す
。
普通
、
料理
を
全く
した
こと
が
ない
人
が
始める
初級
の
レベル
では、
本
に
書い
て
ある
作り方
の
通り
に
料理
を
作る
。
同じ
料理
を何
回
か
作る
と、
本
を
見
なくても
調味
料
の
分量
が
分かる
よう
に
なり
、
一定
の
味付け
が
できる
よう
に
なる
。
次
の
中級
の
段階
では、
材料
を
自分
の
好み
で
選ん
だり、
味付け
を
自分
で
工夫
したりする。
最後
の
上級
の
レベル
では、
自分
で
考え出し
た
料理
を
創造
する。
例えば
、
野菜
炒め
を
例
に
取っ
て
みよ
う。
初め
の
段階
では
初心者
は、
本
に
書い
て
ある
通り
に
玉葱
、
人参
、
もやし
などの
材料
を
用意
して、
本
の
指示
通り
に
味付け
をする。
模倣
の
段階
である。
次
の
段階
に
なる
と、
本
の
材料
から
離れ
て
旬
の
野菜
を
加え
たり、
異なる
種類
の
肉
を
入れ
て
み
たり、
味付け
を
中華
風味
にしたり、
胡麻
の
香り
を
聞か
せた
味付け
にしたり、
自分
で
工夫
して
料理
する。
この
段階
は
あくまで
本
にある
材料
/
作り方
を
基本
にして、
料理
に
独自
性
を
持た
せるという
工夫
/
加工
の
段階
だ。
更に
、
上級
の
レベル
に
なる
と、
野菜
炒め
から
野菜
を
使っ
た
料理
を
考え
、
調味
料
の
配合
も
自分
流
の
もの
を
作り出す
。
創造
力
を
駆使
して
今
まで
全く
存在
しなかった
新しい
料理
を
作る
という
発明
の
段階
に
なる
。
この
よう
に
料理
は、
料理
を
作る
本人
が
どの
レベル
にいても
模倣
、
工夫
/
加工
、
発明
の
いずれ
かを
楽しむ
こと
が
でき
、
特に
中級
以上
に
なる
と、
創造
力
を
用い
て
独自
の
料理
が
できる
の
で、
楽しみ
が
一層
増す
。
次に
、
男性
が
料理
を
作る
という
こと
は、
男性
に
家族
の
こと
を
慮る
機会
を
提供
する
こと
に
なる
。
奥さん
が
作る
料理
を
食べる
時
に、
どんな
料理
に
どんな
栄養
が
含ま
れて
いる
か
考え
ながら
食べる
男性
は
まず
いないだろう。
ところが
、
面白い
もの
で、
自分
で
料理
を
始める
と
無意識
の
うち
に
家族
全員
の
栄養
について
考える
よう
に
なる
。
特に
、
子供
がいる
家庭
では
子供
に
バランス
の
取れ
た
食事
を
出し
たいと
考え
、
料理
をする
時
に
脂肪
/
蛋白
質
/
炭水化物
の
バランス
、
肉
/
野菜
/
穀物
の
割合
などを
頭
に
入れ
て
献立
を
工夫
する
よう
に
なる
。
母親
は、
昔
から
自分
が
中心
に
なっ
て
家
の
切り盛り
をして
いる
ので
四六時中
、
家族
全員
の
こと
を
考え
て
行動
するが、
父親
は、
仕事
に
目
が
向い
て
い
て、
妻
の
こと
、
子供
の
こと
、
家族
の
こと
を
考える
という
機会
は
非常に
限ら
れて
いる
。
男性
が
料理
をするという
こと
には、
男性
の
目
を
家庭
に
向ける
という
利点
がある
の
だ。
最後
に、
男性
が
料理
をする
こと
は、
妻
の
負担
を
軽減
し
夫婦
関係
をより
円満
にする
こと
に
つながる
。
一般
に「
家事
」と
呼ば
れて
いる
家
の
なか
での
仕事
には、
炊事
、
洗濯
、
掃除
、
買い物
など
いろいろ
な
こと
が
含ま
れるが、
一番
負担
に
なる
の
は
炊事
であろう。
栄養
の
バランス
を
考え
毎食
違う
献立
を
考え
ながら
料理
を
作る
の
は
大変
な
こと
だ。
妻
が
病気
に
なっ
て一
週間
料理
を
担当
させられた
経験
がある
男性
だったら、
その
大変
さ
が
よく
理解
できるだろう。
男性
は、
上げ
膳
/
据え膳
で
食事
をする
機会
が
まだ
多い
かも
しれ
ないが、
女性
が
上げ
膳
/
据え膳
で
食事
をする
機会
は
誕生
日
とか
母
の
日
とか、
ごく
限ら
れた
日
だけだろう。
誰
でも
期待
して
い
ない
時
に「
今晩
は
俺
が
晩
御飯
を
作ろ
う」と
言わ
れ、
毎日
当然
しなくては
いけ
ない
こと
をしなくても
よく
なっ
たら、
悪い
気
はしないだろう。
その
回数
が
増えれ
ば
増える
ほど
妻
の
負担
は
少なく
なり
、
夫
に対する
見方
も、
より
好意
的
に
なろ
う。
また
、
奥さん
に
料理
の
腕
を
誉め
られ
感謝
されれば、
案外
単純
な
男性
は
もっと
おいしい
料理
を
作ろ
うと
努力
するだろう。
週末
に
経費
で
接待
ゴルフ
をして
普段
自分
の
カネ
では
でき
ない
ゴルフ
を
楽しむ
の
も
ストレス
解消
の
一つ
の
方法
であるが、
それ
は
本人
だけが
楽しむ
こと
であり、
家族
にとっては
何
の
楽しみ
にも
なら
ない。
せっかく
の
休日
なのに
父親
/
夫
不在
の一
日
に
なる
こと
を
意味
する。
家族
全員
の
こと
を
考える
と、
上記
の如く
料理
は
極めて
重要
な
意義
を
持つ
。
以前
料理
は
女性
の
専売
特許
だったが、
これから
は
男性
も
料理
の
良
さ
/
楽し
さ
を
十分
認識
して
厨房
に
進出
し、
料理
の
醍醐味
を
堪能
しつつ
家族
全体
の
幸せ
を
追い求め
よう
ではないか。(
速水
健次郎
「
辛口
エッセー
」)
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