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第1章 時差ぼけとサーカディアンリズム

§時差ぼけの防止法

海外旅行に行ったことがある方の多くは、時差ぼけを経験したことがあると思います。時差ぼけは極度の眠気を引き起こし、せっかくの旅行を寝ているだけで終わらせてしまいます。こういった時差ぼけは体内時計のリズムのずれによって起こります。

体内時計とは、後でも述べますが人間の睡眠・食事・運動などの生活リズムをコントロールしています。人間は、1日24時間周期で生活していますが、体内時計の片方のリズムは25時間周期で動いています。この体内時計のリズムをサーカディアンリズムといいます。真っ暗な、太陽の光が届かない洞窟の奥深くで、数週間生活すると通常とは全く正反対の生活リズムになってしまいます。これは、人間の体内時計のリズムと1日の周期のずれによって起こる現象です。人は1日1時間という短いずれなら苦もなく調節しますが、全く正反対の時間帯を持つ場所に飛んでしまうと時差ぼけが起こってしまうのです。時差ぼけに悩んでいる人に幾つか対策を述べておきます。

  1. 旅行に行く3日位前から行き先の時間帯に近い生活をしておく
  2. 飛行機に乗ったら機内食は口にせず、行き先の時間に合わせて食事をとる
  3. 飛行機に乗ったらすぐに時計を現地時間に合わせる

まず1.については、出発の2日前は3食とも朝食とします。出発前日は、3食ともたっぷり食べます。出発日には前日と同じメニューとします。以下はすべて旅行先の時間ですので注意してください。飛行機に乗ったらコーヒーや紅茶は飲んでもよいが、午後3時から5時の間に限ります。量のある夕食は避け、朝食のときに代わりに出してもらうとよいです。明かりを消し、映画は見ないようにしましょう。読書もしないで眠っておきましょう。朝食の時間の直前に起きて体を伸ばし、機内を歩いて人と話しましょう。朝食になったら先に断った夕食を出してもらいます。

2.については食事も体内時計に影響を与えますので、食事も利用してリズムを調整する、ということです。3.はそのままですね。現地の生活パターンに体を慣らしておくためです。

§サーカディアンリズムってなに?

サーカディアンリズムの主な機能は、眠りに重要なきっかけを与え、体温をコントロールすることです。体温が高いときは最も注意力が高く、機能的に動けるときです。体温が最も低くなったときに、眠気を感じるのです。平均的な成人は、この2つの体温のピクを朝と夜に迎えることになります。サーカディアンリズムは、複雑ですが規則正しく連続する精神的・生理的な変化で、およそ一日を周期にしているので概日リズムと呼ばれています。余談ですが、サーカディアンは「およそ」を意味するラテン語の"circa"と「1日」を意味する"di"が合成されてできた言葉です。

§体内時計の主な働き

体内時計は、視交叉上核と呼ばれる2個の小さな神経構造で脳の中心の下部にあります。この時計は覚醒(睡眠ではなく)、体温、ホルモン生産リズムを時刻でコントロールします。先ほど述べたように、この時計はおよそ1日を周期としています。体内時計やそこから生まれるリズムは光を浴びる毎に影響されます。昼間の光を感じると体内時計は睡眠を促すメラトニンの分泌を抑え、体を目覚めた状態にしておこうとします。もし体内時計を取ってしまったらどうなるでしょうか。すると、概日リズムに従って目覚めたり眠ったりしなくなるし、昼間まとまった時間をきちんと起きていることもなくなってしまうでしょう。おそらく、1時間か2時間起きていてそれからその埋め合わせをするために数時間眠るのではないでしょうか。これは今までと全く異なる生活のリズムです。とても快適な生活とは思えないし、生産的活動が出来るとは思えません。とにかく、体内時計は毎日の生活のリズムにきちんと同調していることが肝心なのです。そのためには、毎日同じ時間にベッドに入って同じ時間に起きるようにすることです。

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